トップ 日本オンライン情報検索ユーザ会
(OUG)
目次、前回
< > 次回 |
第 245 回化学分科会開催報告 |
日時 |
2003 年 6 月 6 日 (金) 14:00-17:00 |
場所 |
(社)情報科学技術協会会議室 |
配布資料:
- CAS登録番号と化審法番号との対応(化審法30年とCAS50年)
CAS登録番号と化審法番号との対応(化審法30年とCAS50年)
松隈化学技術士事務所松隈昭氏
6月の化学分科会は松隈昭氏(松隈化学技術事務所)を講師に招き、「CAS登録番号と化審法番号との対応」について紹介して頂いた。具体的には、「CAS名称」、「CAS番号」、「化審法既存化学物質及び安衛法公表化学物質」に関する内容であった。
「CAS名称」では、CAの情報収録の方針、CAS名称とIUPAC名称の関係、立体構造の表示等に関して紹介があった。
「CAS番号」ではCAS番号の最初の番号(当初は35-00-7から、但し1974年の時点では35-66-5から)、CAS番号の採択基準(当初は化学構造の確定しているもの。但し1978年のTSCAの申請で変更、2000年から遺伝子情報にCAS番号付与)、CAS番号の現状(2003年6月3日現在:50,672,585件--この内Biosequensesが28,081,515件)等に関して紹介があった。
「化審法既存化学物質及び安衛法公表化学物質」では主として化審法既存化学物質について、種々の問題点について指摘・紹介があった。概要は以下の通りである。
1. 既存化学物質であるのに新規として告示されている
- 申請者が既存化学物質と気づかずに申請し、役所も気づかなかった--役所に既存か否かを聞いても教えてくれない---新規とされる場合がある。
- 化学物質に関しては、化審法と同時に特許出願もされている。特に液晶、医薬、染料関連の物質は模倣されるおそれがあるため告示を控えることが多い。
- 重複して提出された物質は20年間で約1000件もある。
- 41の重複例に関して紹介があった。その一部を以下に示す。
- (2)-3435[2093:昭和62年2月28日告示]オキシ二酢酸は、(2)-3080[71:昭和51年7月6日告示]2,2'-オキシジ酢酸と重複
- (2)-3507[2752:昭和62年3月18日告示]2-(アクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウム=クロリドは、(2)-3467[2324;昭和62年3月12日告示]2-(アクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウム=クロリドと重複
- (2)-3806[4304:平成14年1月22日告示]炭酸ジブチル[542-52-9]は新規化学物質番号(2)-3566[3168:平成4年9月16日告示]炭酸ジブチルと重複
2. 名称のおかしなもの
- (2)-1012アクリル酸イソプレントリマー
- (5)-3811ジヒドロインデノ[2,3-a]ピリミジン-12-オン---インデノ[2,3-a]はインデノ[1.2-a]の誤り
3. 翻訳をまちがって別の物質を新規化学物質としてCAS番号をつけたもの例
- 整理番号(5)-6450[告示番号:4142(平成14年1月22日)]
- C53H63N9O9S--144680-73-9、122510-94-5、177086-85-0--(5)-6450+
- C55H67N9O9S--(5)-6450+
- 整理番号(5)-6462[告示番号:4197(平成14年1月22日)]
- C31H22N6O6---172839-14-4、137641-46-4---(5)-6462+
4. その他、化学構造としてあり得ないもの、名称としてはおかしくないが、実際には問題と思われるもの