情報検索能力試験 1級に合格して 清田 真弓 さん ((株)日本電気特許技術情報センター) |
私は,2002 年度の情報検索応用能力試験(当時の「データベース検索技術者認定試験」)2 級に合格しましたが,直後の異動で特許調査業務から離れたため,1
級を受験することは考えていませんでした。 しかし,2006 年に再び特許調査を行う部署に戻り,5 年経った今,自分がどれだけのスキルを得られたのかを知るために,今回の1 級受験を決意いたしました。受験するにあたり,勉強方法をインターネットで検索してみたのですが,具体的な情報は得られませんでした。ですので,今後1 級を受験される方の参考になればと思い,今回私が行った試験対策をご紹介いたします。 ◆一次試験 筆記試験対策 過去問題から出題内容を予想し,以下のような対策を行いました。 ・すべての過去問題を解き,以下の参考資料を基に自分なりの考えをまとめる −各機関誌(「情報の科学と技術」等) −過去に受講したセミナーのテキスト −特許事務所のホームページやブログ ・日本,米国,新興国の特許制度や検索可能なデータベースの特徴,調査時の注意点等について簡単にまとめる ・英文問題対策として,TOEIC 長文読解セミナーを受講 ・OA 問題対策として,最近よく耳にする技術について勉強 例)SNS,スマートフォン,クラウドコンピューティング 等 ◆一次試験 論文対策 論文を書くのが初めてだったため,テレビの大学受験対策番組を見て,テーマの選び方や構成について勉強しました。論文のテーマは当日にならないとわからないので,今までの業務の中で生じた問題点とその解決方法についての論文を事前に作成して臨みました。今回の試験は新人の教育方法がテーマでしたが,解決方法を教育方法に置き換えることで対応できました。 また,1 時間半で2,000 字程度を手書きしなければいけないので,時間内に書き終える練習を何度も行いました。 (これが一番重要かもしれません。) ◆二次試験対策 プレゼンは持ち時間が6 分間しかありませんので,一次試験で書いた論文の中で一番伝えたかったことをテーマにしました。 面接対策は,一次試験の答え合わせと,社内でのリハーサルを行いました。実際の面接では一次試験で間違えたところを重点的に質問されましたので,答え合わせがとても役に立ちました。 以上が私の行った試験対策です。 試験勉強中は,このような対策でいいのか常に不安でしたし,社内でのプレッシャーも非常に大きかったので,合格できたことは本当に嬉しいです。面接では満足に答えられなかった質問もありましたが,それは今,自分が強化しなければいけない点だと気付くことができましたので,とても有意義でした。今後はこの弱点を克服し,1 級の名に恥じないよう努力を続けていきたいと思います。 |
情報検索能力試験 1級に合格して 寺井 賢一 さん (パナソニック(株)) |
2004年に技術者から知財部門への転向を機に情報科学技術協会(INFOSTA)へ入会し、情報検索応用試験やサーチャー講座もINFOSTA入会後にその存在を知りました。 知財部門では特許調査を主に担当していますが、近年、論文雑誌などの非特許情報の重要性を感じてきており、情報検索一般の知識、スキル獲得のため、INFOSTAでの日本オンライン情報検索ユーザー会(OUG)情報を始めとして、個人や社内レベルでは得られない情報源や人的ネットワークを広げることに努めています。情報検索応用試験の受験動機は、これらの知識やスキルの客観的な確認をしたいと思ったからです。 受験経過は2008年に応用2級受験合格、1級は2009年と2011年受験し、2回目での合格です。 1級の問題は共通問題と専門問題がありますが、専門の特許分野や共通問題のIT関連問題は普段の業務の知識でほぼ対応できたのですが、私にとって共通問題の英語問題が課題でした。 試験中に辞書も参照できるため、時間があればすべて解けるのですが、短時間の英文読解力が問われているため細かく辞書を引いていては、時間切れになってしまいます。 2009年の不合格は、まさしく英語問題途中での時間切れと、他の問題との時間配分が悪かったのが原因でした。単に過去問を解いていただけでは、この時間制限や、時間配分の実感が得難いと思います。 その意味で、1級受験を検討されている方は、受験準備が万全でなくても是非トライされることをお勧めします。 一度受験されることで得られる経験が大きいと思いますし、出題範囲は広範囲ですが、得意分野が出題される可能性もあるためです。 実際、2011年の英語問題はヨーロッパ特許庁の検索システムに関する出題でしたので、私にとって余裕をもって望めたのが幸運でした。 最後に調査の仕事に関しての私の考え方を述べて終わりにしたいと思います。調査というと、一般的には既存情報から依頼者の要望に従って情報検索し、抽出するという受身的なイメージを持つ方が多いかも知れません。私も最初はそのように思っていました。しかし、これまでの経験から、あるテーマで調査をしようとした際には、そのテーマで自ら様々な具体的アイデアを出した上で、それら複数のアイデアに対して、検索することが重要であると感じています。 すなわち、知財の世界で言えば、発明者の立場で調査のバリエーションを膨らますという、実に創造的な仕事であると共に、次々と未知の技術分野に触れることができるという、人間の好奇心欲求を満たす素晴らしい仕事であるということです。 1級合格の機会に今一度この思いを新たにして、今後サーチャーとして一層研鑽を積んでいきたいと思います。 |
情報検索能力試験 2級に合格して 北山 阿梨 さん ((株)日本能率協会総合研究所・MDB 大阪) |
私は今まで何度も受験に失敗し,この度ようやく合格通知をいただきました。そのような私が合格体験記を書かせていただくのはおこがましい気もしますが,今後受験を考えておられる方の参考に少しでもなればと思い,書かせていただきます。 まず,私が2 級を受験した理由ですが,その前に,まず私の仕事である「情報コンサルタント」について説明させていただきます。弊社は,会員企業にビジネス情報を提供する,いわば企業向けの図書館業務をしております。その中で「情報コンサルタント」とは,会員企業の情報収集に対するニーズを正確に把握し,最も効果的・効率的な情報収集の仕方を提案する,という職業です。 私ども「情報コンサルタント」には,ビジネス情報に対する幅広い知識と,― 2 ― 情報の科学と技術 62巻6号(2012)それらを使いこなす技術が要求されます。 私が受験を希望した理由は,まさにそこにあります。仕事に必要なデータベースについて知識を深めることができるのではないか,と考えたからです。とは言うものの,前に書かせていただいた通り,私は今まで勉強不足が災いし,何度も不合格をいただいた身分であったため,今度ばかりは今までとは違う勉強法で臨まないと,合格は厳しいなと考えておりました。そこで,私が大学時代演劇部に所属していた時,台詞を覚えるのに使っていた方法を思い出し,実践してみることにしました。それは,公式のテキスト(「情報検索の知識と技術」)や2 級対策セミナーでいただいた資料に書いてあることを音読し,携帯電話に録音して,それを毎日聞き流す,という方法でした。もちろん,これは私に合った勉強法,というだけで,他の方には合わないかもしれません。ただ,今までやってきた勉強法では合わないな,と感じている方は,一度違う勉強法を試してみるのもいいかもしれません。 実際の試験で気をつけることは,前半の選択問題の解答に時間をかけすぎていると,後半の記述問題を解く時間がなくなってしまうので,時間配分を考えて取り組むと良いでしょう。また,記述問題はどんな解答でも全て埋めた方がいいと思います。 合格通知を受け取った時の喜びは,今でも忘れられません。合格通知を握りしめ,思わず涙を流していました。苦節ウン年の私が合格できたのですから,今試験のために勉強をされている方は,きっと合格できるはずです。また,まだ受験を考えておられない方は,是非一度受験することをお勧めします。 |
情報検索能力試験 基礎合格者 柴田 和也 さん |
私は企業の研究所で新技術の研究開発をしています。研究業務の傍ら,他社の特許の状況,学会やシンポジウムでの発表内容等を日々確認していました。今やインターネットを通じて,欲しい情報を簡単に得られる時代になっていますが,特許や文献,企業情報など,本当に必要な情報を正確に漏れなく調査するには,専門的な知識と経験が無くてはなりません。 私が「情報検索能力試験」のことを知ったのは,社内先輩サーチャーが2 級の試験に合格したことからです。この試験が情報検索の入門的な試験だと知り,日頃行っている業務をより確かなものにしたいと思い,私も挑戦することにしました。そこでまずは基礎から受けることにしました。 基礎の試験問題は広い分野から出題されます。私はパソコンに関する,ハードや通信などの知識はありましたが,データベースや著作権,特許などは初めて勉強する分野でした。この試験では基礎的な知識が問われていますが,勉強しているうちに,専門的な検索を正確に行うためには,この基礎の部分が非常に大事だと分かりました。また,問題はあまり難しくありませんが,問題数が非常に多くなっています。私も初めて過去の問題を解いたときは時間がなくなり,最後まで解けませんでしたので,時間配分を考えておく必要があると思います。 試験に合格後は,「祝う会」にご参加されることをお勧めします。現役でご活躍されている先生のお話や,他社で同様の業務に従事している方と出会えるなど,幅広い分野の人々とのコミュニケーションを築くことができます。また今後,情報検索を行おうと考えておられるなら情報科学技術協会の会員になるのがよいと思います。セミナーや勉強会など,必要とする情報をいち早く入手できるだけでなく,自分自身の知識向上の刺激になると思います。 今後の目標は,実際に業務を行っていく中で更なる知識を身に付け,次のステップアップでは情報の検索を行うだけでなく,研究開発の方向性も示せるようなサーチャーを目指していきたいと考えています。最後に,アドバイスいただいた先輩サーチャーに感謝いたします。 |
情報検索能力試験 基礎合格者 中村 華絵 さん |
理系の大学で、図書館司書をしている、中村と申します。昨年(2011年)4月より、勤務しています。最初に、図書館案内を見たとき、データベースの充実に驚いた記憶があります。また、ある大手企業の情報センターと相互協力がある点も驚きでした。 図書館勤務も大学図書館勤務もはじめてで、カウンター対応が中心だったので、データベースを使えるようになるのは、先でいいと考えていました。その考えは、すぐに覆り、焦ることになりました。カウンターには、ある論文をみたいとご相談にくる学生さんや先生もいらっしゃいます。聞いたこともない英単語の羅列に、とまどいながら先輩を頼りつつ、捜すことが続くと、データベースを知らなければと思うようになりました。 そこで思い出したのが、在学中、先生に薦められた「情報検索能力試験」です。業務を覚えるのだけで手一杯な自分に、勉強する余裕はあるのだろうかと思いました。また、金銭面でも余裕がないので迷いました。でも、2級をもってる先輩がいたり、基礎をもっている同僚が何人もいること。自信をつけたいと思いから、受けることにしました。2級併願については、さらに悩みました。結局、自分の知識レベルをはかるためと思って、受けることにしました。 当日、試験会場の大学には、思いの外、スーツ姿の人がいました。図書館司書ばかりが受けに来るというイメージを持っていたので、意外でした。企業に勤めていて受ける方がけっこういたのでしょう。休憩時間に、同僚と思われる人同士で話している姿も見ました。過去問をこなすといいとは、聞いていましたが、そこまでできずに試験にいどむことになりました。結果は、基礎合格。2級不合格でした。残念ですが、どこかでほっとしています。対策セミナー参加したり、今度こそ、過去問をやるなど、ちゃんと勉強する機会が得られたと思っています。(もちろん、少々負け惜しみです。) 2級は落ちましたが、基礎合格も”合格”。合格を祝う会があるといので、おじゃましてきました。在宅でサーチャーとして働く先輩のお話をきくことができました。子育てと仕事を両立するために、現在の働き方を選んだという話でした。とても優秀で、がんばったからこそ可能になったのでしょう。自分も真似できるとは思いませんが、とても参考になりました。さらに、ケーキ片手の、交流会もありました。大企業で働く方や、特許事務所の方、図書館の方いろいろな方がいらしていました。普段あわないような他業界の方と気軽にお話ができる、貴重な体験でした。 受験にさんざん迷った、情報検索能力試験ですが、受けてよかったと心から思っています。ここが始まりです。試験のべんきょうだけでなく、情報科学技術協会やサーチャーの会などを通して、少しづつでも”使える司書兼検索者”になっていきたいと思います。 |