2009年度 情報検索能力試験 合格者の声
情報検索能力試験 1級に合格して 
             猪瀬 太さん (新日本無線(株)知的財産部)
 私 にとっての情報検索能力試験は,これまでの仕事の総括と考えていましたので,今回の1 級合格は嬉しい限りです。以下に私の略歴,受験のきっかけ,合格の要因および今後の抱負について述べさせていただきます。
 私は,会社で特許情報を専門に扱う特許情報課という部署に所属しています。この課は10 年ほど前に発足したのですが,実はそれ以前から知財部に所属して出願業務を行っており,必要に応じて調査もしていました。特許情報課には9 年前に前任者と入れ替わる形で異動し,初めは一人で切り盛りしなければならず,仕事が軌道に乗るまで苦労しました。ちなみに,会社の製品技術分野は多岐にわたりますが,それでも仕事が成り立っているのは,対象そのものを検索しているのではなく,概念を検索しているからだと思います。技術思想の概念抽出は,特許請求の範囲を書いていた昔の経験が生かされました。
 さて,私にこの試験を受ける動機付けをしたのは,とあるセミナーの会場で見たINFOSTA のパンフレットです。それで初めて情報検索能力試験の存在を知り,自分の携わる仕事に客観的な評価をしてもらえることに大変興味を持ち,試してみたいと考えるようになりました。そこで,2級試験を受け,これに合格することができましたが,次の年に受けた1 級試験は2 次で落ちてしまいました。しかし,その経験はむしろ自分に足りない部分を補う良い機会を与えてくれました。試験結果通知に同封されていたコメントで大いに励まされたのを覚えています。そして今回合格することができたという次第です。
 情報検索能力試験はサーチャー試験と呼ばれることがありますが,1 級は単に機械検索の方法を知っているだけでは合格できません。サーチャーでなくインフォプロとしての資質が問われるからです。各人各様のスタイルがあると思いますが,私は「情報リテラシー」が重要なキーワードであると感じました。つまり,単に検索結果を出すのではなく,それを元に関連部門に提言する力が必要だということです。論文試験ではそのような過去の事例を題材としたのが良かったと思います。ただ,今思えば,企画提案にウェイトを置いても良かったかも知れません。
 今後この試験で得られた知識を生かし,研究開発や製品販売の方向性について提言できるような,さらに高度な仕事をしたいと思います。


情報検索能力試験 2級に合格して 
             柴田 大輔さん (帝京平成大学)
 私は現在,図書館司書資格の取得に必要な科目を担当する教員として仕事をしています。図書館司書の資格を得るためには図書館のサービス,図書館の経営方法,資料の管理法など様々な勉強をし,単位を取得しなければなりません。
 その中でも,特に重点をおくべきだと思うのが「資料組織(図書館での目録法,分類法,資料排列法などを中心に,資料や情報の整理法を学ぶ)」と「情報検索」「レファレンスサービス(質問に対して資料や情報の提供を行うサービス)」などの専門的・技術的な知識を学ぶ科目です。
 他の様々な業界と同様に図書館でもアウトソーシング化が進んでおり,図書館司書資格取得者の技術的な質を確保することが教育の場で求められていることが理由です。また,近年「図書館」ではなく,本以外のインターネット情報資源を取り扱う「情報センター(情報集積所)」と表現されつつあることも重要なポイントです。「本を扱うこと」だけではなく,「本を含めたあらゆる情報を探しだし,提供できる」知識を持つことが図書館職員にとって重要視されつつあると言えるでしょう。
 そのような背景から,従来の図書館司書課程で学ぶべき範囲より少し広い視野をもって情報の整理法,探索法,役に立つツールや使いこなすための技術などをしっかり教える必要があると考えました。そこで,自分のスキルアップも兼ねて,2 級を受験することにしました。
 2 級を受けることに決めたあと,まず前年の問題を眺めました。特に難しいと感じたのは,条件に該当するデータベースを選択する問題です。今までに,STN on the WebでINSPEC(主に物理・電気・情報の文献を収録するデータベース)を使用したり,論文を探すためにJ-Dream IIやWeb of Science を使用したことがありましたので,検索の技術は身についているつもりでした。しかし,化学,医薬品,企業情報などのデータベースについての知識はほとんどなく,幅広く学ぶ必要があることを痛感させられました。
 そこで,まずは2 級対応テキスト「情報検索の知識と技術」に線を引きながら読み,同時に,入手可能な過去問をすべて解きました。データベースの選択問題に対応するために過去問から統計をとり,詳しく調べるデータベースの優先順位を決めた後,無料で利用できるデータベースを可能な限り利用しました。利用できない場合はG-Searchデータベースサポートセンターで公開されているDIALOG のマニュアルやブルーシートでデータベースの概要や利用できるコマンドなどを読みました。かなりの時間をかけたので,合格できてホッとしています。
 今後は,今回学んだ知識を授業に生かすことはもとより,日々進歩するインターネット上の情報検索環境などに対応するためにも,さらに勉強を深め,余裕ができたら1 級にも挑戦したいです。


情報検索能力試験 2級に合格して
              松澤 智子 (日本アスペクトコア(株))
 私は図書館でレファレンス担当として勤務しています。
試験を受けようと思った理由は,レファレンス3 年目となった自分に何か証が欲しかったことと,今でも交流がある小学校の恩師からの「情報処理や情報検索の資格も取得すると良い」という助言が重なったからです。そこで基礎能力試験と応用2 級を受けることにしました。
 基礎の過去問題では専門用語がさっぱりわからず,勉強開始早々につまずきました。3 ヶ月くらいかけて基礎知識を学習しました。いま振り返ると,この土台作りが応用2級に合格した大きな要因だと思います。
 2 級の勉強は,出題の意味が分からないところからのスタートでした。今まで聞いたこともない海外データベースや特許データベースに翻弄されました。断念しかけていた頃に,とある調査依頼に勉強で得た知識が役立ちました。
この出来事は勉強を続ける励みとなりました。とはいえ,問題の難しさは変わりませんし,嫌気も消えませんでした。しかし,翌年の試験にむけて再度勉強するのはもっと辛いと感じていたので,なんとか一回で合格したいと思うようになりました。試験までの日数と自分の知識レベルを考えるに,まんべんなく勉強するのは絶対に無理なので,分野を絞って勉強することに決めました。前半の選択問題は,特許関連と英語力が試される問題が著しく苦手だったことから,この分野はあきらめて(といっても0 点ではだめですが)他の分野で点を得ることにし,後半の記述問題は(採点方法は分かりませんが),短くても間違ったことを書かないようにする,どんな些細なことでも書き1 点1 点を積み重ねる作戦にしました。あとは過去問題を繰り返し解いていました。
 かなり楽観的な勉強方法だったので,合格が信じられませんでした。合格の喜びは日に日に重みを有して心に深く入り込んでいきました。
 当初は“仕事に活かせるかなぁ”という程度の考えで挑んでいましたが,この喜びは社会人としてだけではなく,家族の一員であったり,誰かの友人であったり,学習者でもあったり,その全ての場面の私に影響を与え,活動の源になっています。ちょっとした冒険から,贅沢なものを手に入れた気分です。
 合格なされた方は,ぜひとも祝賀会に参加して下さい。試験勉強の不安や苦悩を経験した人たちとの交流はとても有意義なものです。「合格して良かった」とより一層の喜びを実感することができるはずです。試験合格に安堵せず,これからも技術と知識を向上させるために頑張り続けたいと思っています。


情報検索能力試験 2級に合格して 
             飯岡 淳弘さん
 私が「情報検索応用能力試験」のことを知ったのは,7年前に研究開発部門の知財担当業務に仕事が変わったのがきっかけでした。当時,情報検索については全く知識がなく,Web で情報科学技術協会の存在を知り,協会が発行していた書籍『ひとりでできる特許調査』を購入しました。
 この本には,サーチャーの方々の検索技術が結晶化されており,そのすばらしい内容に感動し,情報検索に非常に興味が湧きました。さらに幸運だったのは,社内に先輩サーチャーの方がいて,社内で外部データーベースベンダーによるDialog 講習会を開催していただき,これを機会に受験を決意しました。
 さて,以下に私の具体的な勉強方法を記載します。受験に先立ち,サーチャー講座21 を受講しました。この講座は,2 級受験を目的とするだけでなく,実務面においても情報検索に役立つ基礎知識が満載で,受講されることをお勧めします。今までの情報検索のあやふやな知識が,『情報の科学と技術』誌に記載されている専門用語の概念を理解できるまでになります。講師の方は,2 ヶ月前から勉強すれば充分間に合い合格できると説明されましたが,受験勉強のスタート時は「情報検索の知識と技術」を眺める程度で,本格的に勉強を開始したのは,試験の2 週間前からでした。そこから焦りも感じ,猛ダッシュで勉強しました。
 サーチャー講座21 の諸先生のテキストの内容はすばらしく,ポイントがハイライト処理等で示され,過去問を充分に分析して例題として適材適所に盛り込まれています。これを3 回繰り返し読みました。また,過去5年間の 過去問を3 回繰り返し解きました。一度解いた後,答えを問題集に書き込み,テキスト化しました。このような受験勉強でトライした試験ですが,今までの傾向と異なり,前半問題で英文問題が2 題出題されました(例年1 題)。対応策として英文問題を飛ばして,最後に戻って解いたことで事なきを得ました。後半問題の記述試験については,自分の実務の得意分野(私は特許調査)を得点源にすべきです。
 今後は,情報検索に限らず,検索データを分析し,新事業を創出する技術者に対して,特許検索から研究開発の方向性までを提案できるサーチャーを目指したいと思います。アドバイスいただいた社内先輩サーチャー,諸先生に感謝いたします。ありがとうございました。


情報検索能力試験 基礎能力試験に合格して 
             井ノ本 美和さん
 私が「情報検索基礎能力」を受験しようと思ったのは,現在図書館に勤務しておりますが,専門司書を目指すのであれば,情報検索技術の習得をせざるをえないと思ったからです。
 といってもパソコンが得意なわけでは決してなく,試験日(11 月22 日)を知って,今年は無理かなあと思っていたのですが,合格率が8 割で,テキスト『情報検索の基礎知識 新訂版』でほぼ対応できることを知り,至急ぎりぎりに受験を申し込みました。
 試験まで約3 週間,テキストを数回読み,過去の試験問題を解きました。事務職や司書など仕事でパソコンを使用されている方ならば,どなたでも理解できる内容だと思います。
 そして受験当日,全問解答できたのですが,思わぬ失敗をしてしまいました。解答用紙のマークシートの○がとても大きく,塗りつぶすのに時間がかかってしまい,最後の方はマークできなかったのです。試験監督に「終わりです」と言われたときは,驚きました。過去の試験問題も時間内にできていたので,自分のペースでやったらいいだろうと思って臨んだのですが,マークする時間を考慮せずにきれいに塗っていたら,時間切れになってしまいました。
おかげで合格通知がくるまで,不覚な思いをしました。
 「情報検索基礎能力」はやさしいレベルの試験ですから,パソコンに苦手意識をもっている方(自分を含めて)などが気軽に取り組めば,少しは自信をもつことができる手段になるのではないかと思われます。
そして基礎合格者は,次へのステップに行かなければなりません。司書のインフォプロとしては,2 級からが要求されるスキルとされます。
 しかし,実際の仕事においては,レファレンスを担当していないので,どうやって勉強したらいいのかと悩んでいるところです。いろんな文献を読んだり,検索してみたり,そして(社)情報科学技術協会の会員にひとまずなっておくのがよさそうです。
 図書館は今後情報センターとしての機能がいっそう求められます。デジタル情報の影響は大変大きく,ますます進化していきます。また社会全体が高度情報化社会であり,よりよく生きていくためには,情報に対処できる術をもっていたほうがよいでしょう。


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