2009 年度 情報検索応用能力試験 2 級

試験問題 解答例 [後半] (2010. 3. 29) (情報科学技術協会オンラインユーザ会化学分科会) 連絡先 ougkagakuyahoo.co.jp

(前半はこちら)

当分科会で作成した解答例です。
作成に際しては最善を尽くしておりましたが、誤り等のために生じた損害等につきましては責任を持ちませんのでご了解ください。またご意見・コメントがございましたら、ぜひ上記分科会アドレスまでお寄せください。

問題は情報科学技術協会ホームページにあります。

テキストは「情報検索の知識と技術」です。

問 13 (テキスト「3.2.2. 検索にかかわる機能 (p. 30)」「3.4.1 再現率と適合率 (精度)」「6.6.2 SNS」)

(1) シソーラスのように階層構造になっている索引語について、下位の語のレコードを上位の語からも検索できるようにすること。(もともとは下位のレコードをの件数を上位の語に加えることをいう)
(2) 伝統的な検索システムにおいて、検索結果集合のうち適合するレコードの割合を「精度」、全適合レコードのうち検索された適合レコードの割合を「再現率」という。精度と再現率はしばしば反比例の関係にあるという。
(3) 登録した利用者が自分のサイトの記載とコメントを通じて他の利用者とコミュニケーションを図る仕組みのネットワーク。米国では Facebook や MySpace、日本では Mixi が知られている。
(4) 感染したコンピュータをインターネットを通じて外部からコントロールできる仕組みのウィルス
(5) Search Engine Optimization の略で、検索エンジンにおいてそのホームページが検索結果の上位に表示できるように工夫すること。

問 14 (テキスト「3.5.1. 検索インタビュー」)

(1) 1 依頼者の検索目的の (何のための検索か) を正しく理解する、特に隠れた目的を知る
4 依頼者が持っている情報を聞く。たとえばこれまでに自力で検索しているならその結果について聞く
2 検索のスコープ (たとえば企業調査なら業績なのか、ニュースなのかなど) を確かめる
3 検索キーワードやサンプルの文献を入手する
5 検索範囲 (資料種類、文献種類、年代、国、など) について確かめる
6 検索費用の上限があれば知る
7 回答が少ない場合、多すぎる場合などについて対処を確認する
8 締切、納期について確認する
(2) 1 依頼者が期待している回答が含まれていない
2 依頼者が必要としていないノイズが多い
3 依頼者がすでに知っている回答ばかりである
4 入手困難な文献、あるいは翻訳が必要な文献ばかりである
5 依頼者の想定予算を上回る

問 15 (テキスト「8. システム各論」)

1

CiNii (1) @ 検索は無料、原文献入手には登録が必要な場合がある
A 日本の学術文献 (NII-ELS 学協会刊行物・研究紀要、引用文献索引データベース、国立国会図書館雑誌記事索引データベース、機関リポジトリ文献などからなる) の書誌と一部抄録を収録
B NII-ELS 収録文献 (一部有料)、機関リポジトリの文献は原文閲覧可能。J-STAGE, CrossRef へのリンクによる原文アクセスもある。
(2) 「電子ジャーナル オープンアクセス」
NDL-OPAC (1) @ 検索は無料、登録の必要なし
A 国立国会図書館に納本された雑誌のうち学術雑誌の文献書誌
B J-STAGE や CiNii 原文へのリンクがあるのでそこから原文が閲覧できる。また文献複写サービスあり。
(2) 「農業 経営」
JDreamII (1) @ 有料 (従量制と定額制あり)
A JST が抄録・索引を作成する日本と世界の科学技術・医学文献
B J-STAGE や CrossRef へのリンクがある。また資料複写サービスがある。
(2) 「半導体 ランプ」
MAGAZINEPLUS (1) @ 有料 (従量制と定額制あり)
A 国立国会図書館雑誌記事索引を中心とした文献
B 図書館 OPAC への連携機能あり
(2) 「子規 俳句」
大宅壮一文庫 (1) @ 有料・定額制
A 一般雑誌記事の書誌とキーワードを収録
B 資料複写サービスあり
(2) 「小沢一郎 選挙」
EL-NET (1) @ 有料
A 150 誌の雑誌記事のアラートサービス
B 雑誌記事切り抜きが届く
(2) 「日航 OR 日本航空」
日経テレコン21 (1) @ 有料
A 約 100 誌の記事
B 記事の本文が閲覧可能
(2) 「グーグル クラウド」

2

(1) 上場していること、大手であること
(2) @ 各社サイトの「経営計画」、ニュースリリース
A 有価証券報告書
B 管轄官庁 (農水省、経産省など) および関連団体の企業動向調査
C 調査会社レポート

3 (テキスト「8.3 特許・知財情報」)

(1) @ IPDL
(a) 日本の公開・公告・公表・登録特許
(b) 要約・請求の範囲、公報全文、IPC、FI, ファセット識別子、出願人・権利者、日付などを組み合わせて検索できるが、複雑な検索式は作成できない。検索結果一覧を見ることのできる上限がある。商業データベースに収録されていない最新の特許や古い特許が検索できる。
USPTO Patent Database
(a) 米国の公開・登録特許の全文
(b) フィールドを組み合わせて複雑な検索ができる
A PATOLIS
(a) 日本の公開・公告・公表・登録特許
(b) 要約・請求の範囲、公報全文、IPC、FI, Fターム、ファセット識別子、出願人・権利者、日付などを組み合わせて複雑な検索式の作成が可能。またキーワード索引があるため、ノイズを防いで網羅性のある検索が可能。
DWPI
(a) 世界の特許
(b) 独自の要約・索引コードが付与されており、漏れのすくない、深い検索ができる。中国や韓国を含む多数の国の特許が一度に検索できる。
(2) 予備検索として IPDL を用い、漏れがあっては困る検索では PATOLIS を用いる
漏れやノイズの少ない検索のため DWPI を用いるが、これを補うため全文検索のできる USPTO を用いる

4 (テキスト「8.1 科学技術および全般」)

(1) @ 「添付文書情報」または日化辞 Web で英語名、同義名を確認する
A それぞれのデータベースの特徴を生かして個別に検索する
MEDLINE - MeSH, Subheading, CAS 番号など
EMBASE - EMTREE, CAS 番号など
SciSearch - Basic Index
B 各結果を重複除去して統合する
(多くの論文は販売会社名では発表されていないので、これを検索に加えるのは適当でないと思われる)
(2) @ データベースごとに収録源が異なり、必ずしも重複していない。
MEDLINE - 医学関連分野が広い (歯学、看護学、栄養学など)
EMBASE - 生物医学、薬学医学領域
SciSearch - 科学・医学全分野を収録
A 索引が異なる
MEDLINE - 80% レコードに MeSH
EMBASE - すべてのレコードに EMTREE
SciSearch - 索引なし
B 著者抄録の付与度が違う
MEDLINE - 約 50%
EMBASE - 約 80%
C 収録期間と速報性
MEDLINE - 1949 年から
EMBASE - 1974 年から、速報性が高い (雑誌入手から 15 日)
SciSearch - 1974 年から

5

(1) 1 その化合物は Registry ファイル登録初期に登録されたもので、該当する文献がない
2 その化合物は化合物カタログ等から登録されたもので、該当する文献がない
3 その化合物は法規制リストにあるもので、CAplus では化合物とみなされていない
4 企業の依頼により登録されたもので文献がない
5 その化合物は環骨格など Registry のシステムの都合で登録したもので実在する化合物でないか、文献がない
6 その化合物は登録されたばかりで、まだその索引が CAplus に収録されていない。
7 実在化合物はその登録番号化合物の組成物成分なので、組成物の文献しかない。
8 実在化合物はその登録番号化合物の誘導体なので、誘導体を指定しないと文献がヒットしない
(2) CI フィールドの COM は組成物成分を意味するので、この番号を /CRN で検索すればこれを含む化合物が検索でき、それから文献その他の情報を見つけることができる。SR フィールドに CA とあるので、文献があるはずである。