Vol. 57 (2007), No.3
第3回情報プロフェッショナルシンポジウムが,「インフォプロに求められるもの・インフォプロが求めるもの」のテーマで,2006年11月16日と17 日に日本科学未来館7階の三つの会場を使用して行われた。開催の趣旨は,情報科学技術分野における調査・研究成果や,企業ならびに大学等における情報管理の実施例を発表する場を提供し,広く科学技術情報活動の啓蒙と普及を図ることである。
長年にわたって情報科学技術協会(INFOSTA)と科学技術振興機構(JST)は,それぞれ「INFOSTAシンポジウム」と「情報科学技術研究集会」とを開催していたが,この二つのイベントは「情報科学技術の実践的研究成果に関する研究発表の場」という意味で共通していた。またINFOSTA会員とJSTの情報提供サービス利用者はほぼ重なっている。したがって,両イベントを統合することによって,より効果的・効率的な研究発表および情報交換・提供の場が形成されることが期待された。このニーズに応えて生まれたのが,「情報プロフェッショナルシンポジウム」である。
今回のシンポジウムでは,研究発表・報告,安西祐一郎氏(慶應義塾長,情報処理学会長)による「情報社会の本質的な変化」という演題の特別講演,トーク&トーク「学術情報の流通・利用と著作権」,情報交流会,展示が行われた。合計23件の研究発表・報告は,7セッション(特許情報(2),電子ジャーナル,情報処理技術,データベース,情報検索・分析・評価,医薬・医療情報)の下で行われた。なお,発表時のスライドデータが公開されているので,興味・関心のある会員諸氏のアクセスをお勧めする(2007年3月31日まで,URLはhttp://www.jstage.jst.go.jp/browse/infopro/2006/0/_contents/-char/ja/)。
特別講演,トーク&トーク,研究発表・報告のいずれも内容的に充実しており,わが国科学技術分野の情報処理・管理・提供さらには教育に関する今後のあり方に示唆を与えるものであったといえよう。参加者の総数は405名,聴講者の延べ人数も2,312名に達し,きわめて盛大なシンポジウムであった。
今回のシンポジウムは(おそらく過去2回のシンポジウムにおいても同様であろうが),上述した開催趣旨やニーズが十分生かされたものであったということができよう。これは,発表者,講演者,聴講者を含め関係者のご協力の賜物であり,厚くお礼申しあげると共に,今後のシンポジウムにおいても同様のご協力をお願いする次第です。
情報プロフェッショナルシンポジウム実行委員会:委員長:細野公男 副委員長:土谷久
委員:岡谷大,佐藤淑子,手塚久男,徳野肇,大倉克美,平井邦造
事務局:木村美実子,阿部錦司,田村紀光,鈴木吉之
北島 由紀子
大正製薬
岡安 渉子
富士通
座長 : 真銅 解子
樫村 雅章*
*かしむら まさあき 慶應義塾大学HUMIプロジェクト
〒108-8345 東京都港区三田2-15-45
Tel. 03-5427-1646(原稿受領 2007.1.29)
本連載では,貴重書のデジタルアーカイブに関連する様々なことについて,独自に開発してきた撮影手法やデジタル書物学などHUMIプロジェクトならではの内容を交えながら,11回にわたって解説や紹介を進めてきた。最終回となる今回は,これまでに扱ってきた内容をところどころ振り返りつつ,貴重書デジタル化における画像取得方式の変化や貴重書デジタル画像制作のための専門分野の形成,HUMIプロジェクトの今後の活動などについて展望し,現状の問題点や課題などを指摘しながら考えや期待を述べる。
キーワード: 貴重書,デジタルアーカイブ,デジタルカメラ,デジタル画像,デジタル化,HUMIプロジェクト,デジタル書物学,XML
石井 保廣
別府大学
小林 隆志
鳥取県立図書館 支援協力課くらし・産業支援担当