特集「情報サービスとセキュリティ」の編集にあたって |
「公開(Permit Everything)か守秘(Deny Everything)か?」我々情報サービスを提供する立場にある者にとって,どちらを重視するかは悩ましい選択である。特に,大学図書館においては,年々提供するデータベースやサービスの種類が増え,利用者のニーズも多様化する中で,セキュリティ対策については後送りにされ,ややもすると忘れ去られがちである。また,大学図書館の経営者サイドの危機意識についても,民間企業に比べると格段に低いことは否めない。 確かに,セキュリティとはある意味で邪魔なもののように思える。なぜなら,本格的にセキュリティ対策を行うには,面倒な設定を膨大なお金と時間をかけて行う必要があるし,費用をかけた割には,効果がなかなか目に見えてこないからである。しかし,情報を提供する側にも受ける側にも最低限のルールとマナーがあり,それを無視してアクセスしてくる輩に対してノー・リアクションのままでよいのだろうか?今や情報を悪用して何をされるかわからない時代である。そこで,我々情報サービスを提供する者として,どこまでのセキュリティを考え,実施すればよいかなどセキュリティ対策の方向性を明確にし,情報サービスとセキュリティのバランス(せめぎ合い)を模索したい。 今回の「情報サービスとセキュリティ」では,企業図書室や大学図書館,情報センターを取り巻く様々な危険について,ネットワーク不正アクセスの現状を始めとして,OPAC端末エリアや利用者開放端末エリアといったパブリックスペースのセキュリティなど様々な角度からセキュリティ対策へのアプローチを行っていく。組織の経営者や管理者に少しでもセキュリティ対策の重要性を認識していただき,また情報サービス担当者やシステム担当者がセキュリティポリシーを決定し,対策を講じる上で,少しでも参考になれば幸いである。 |
(編集担当委員 田邊 稔,大原寿人,北島由紀子,峯尾幸信) |