2014年3月度(第321回)ライフサイエンス分科会
開催日時: 2014年3月20日(木) 14:00~17:00
開催場所:文京シビックセンター5階 会議室A
配布資料:ProQuest Dialog
参加人数:15名
記入者:株式会社 ジー・サーチ 川原 綾
内容:ProQuest Dialog
1.ProQuest Dialogの概要
2010年に医薬文献データベースを搭載してサービスを開始したProQuest Dialogは、2013年12月より特許データベース
ニュースデータベースを搭載した。搭載データベース拡大だけでなく、検索機能や表示機能、後処理機能の強化なども
おこなわれているため、ProQuest Dialogの最新情報を中心にご紹介した。
1)ProQuest Dialogの特徴
世界の信頼できる情報源を豊富に搭載
検索からタイトル一覧まで無料
日本語で検索できる、多言語対応インターフェース
複数の検索画面を用意(基本検索、詳細検索、コマンドライン等
2)ProQuest Dialogの検索補助機能
入力ルールを知らなくても使える検索機能
後方一致検索などトランケーションの強化
名詞の複数形、形容詞の比較級最上級の自動検索
入力語に関連する候補を表示するサジェスト機能
3)ProQuest Dialogの後処理機能
ダウンロードファイル形式(RIS、RTF、PDF、テキスト、Excel、XML等)
同一セッション内、同一レコード、同一出力形式であれば二重課金なし
回答表示結果を日本語を含む多言語に機械翻訳
※複数件の同時翻訳や翻訳結果の保存も可能に
2.ProQuest Dialogの基本的な使い方と便利な使い方
検索から出力までの流れをご紹介
3.データベースのご紹介
MEDLINEおよびEmbaseデータベースにおけるデータ構造等、旧システムのDialogからの変更点についてご紹介
2014年2月度(第320回)ライフサイエンス分科会
開催日時: 2014年2月20日(木) 14:00~17:00
開催場所:文京シビックセンター5階 会議室A
参加人数:17名
記入者:株式会社サンメディア 前田亜寿香
内容:1.「目玉の数と巨人の肩」 東京ウィキメディアン会 赤虹氏
東京のウィキペディアユーザー会の赤虹氏より、Wikipediaの編集方針やデータの信頼性についてお話いただいた。
1)Wikipediaの特徴
・不特定多数の執筆陣:約3万人(英語版)、約4千人(日本語版)※ひと月に5回以上編集したアカウント数
・項目数:約440万(英語版)、約89万(日本語版)
・版数(例):第45336版(英語版)、第4672版(日本語版)
・無断コピー、転載可
2)信頼性を保つ方法
・「目玉の数」…多数の閲覧者がいれば間違いがあっても修正されるという考え方。読者からの指摘や直接修正を受け入れ、迅速に修正する。
開発思想書『伽藍とバザール』…ウィキペディアは不特定多数による執筆と修正(バザール方式に類似)
・目玉①「監視者」…読者による目だけではなく、国内外で数名~数十名の監視者によりおそらく24時間体制で監視されている。
・目玉②「ウォッチリスト」の機能を使い、更新された情報を確認することができ、ページを好ましい状態に維持することができる。
・目玉③「格付」…項目の重要度を格付し、重要な項目から内容を充実させていく。「秀逸な記事」や「良質な記事」は、不特定多数による査読を経て
認定されている。
・「巨人の肩」…文献による裏付け。以上のような目玉の数のみを頼りにしていたが失敗。人物の誤った経歴の掲載により騒動が発生した。
これを受けて、存命人物の記事に関してのみ「出典なき批判は直ちに除去する」という方針が定められた。それ以外の記事も、情報源
(書籍や文献、ウェブページ)を明記するよう呼びかけている(「検証可能性」)。しかし、偽文献などの実例もあり、万能ではない。
信頼性を保つには利用者の目と、情報源(文献)の両方が必要。
3)Wikipedia活用方法
・読む:必ず参考文献を確認する(主要資料への橋渡しとして活用)
・書く:活用方法の一例として、自社の顧客の啓蒙により、自社に対する問い合わせ数を削減できる可能性もあり。
4)進行中のプロジェクト
・分野部会による項目格付(トップダウン式の書き直し作業が英語版にて進行中。日本語版化学部会でも作業の試行を開始)
・英語版の医学部会では国際プロジェクトが進行中(主要疾病32項目について翻訳作戦が展開中。日本語版の進捗はいまいち)
5)その他
・「自分自身の記事をつくらない」という方針はある。記事の執筆を希望する項目があれば「執筆依頼」のページを活用できる。
・書きたい項目があっても出典が明確でない場合は、すでにある項目の「ノート」欄に記載する方法もある。
2.Wikipediaの教育 愛知大学文学部教授 時実象一氏
時実氏より、愛知大学でのWikipedia記事作成実習の経験、およびWikipediaの利 用方法についてお話いただいた。
1)授業にて、学生に記事の執筆・編集をさせている。記事テーマの選択において、好ましい記事、好ましくない記事がある。
紛争になりやすい記事は選択しない。
・Wikipedia五本の柱(全ての指針の基礎)
・三大執筆方針(中立的、独自の研究は載せない、検証可能性)も参考にする。
2)記事の準備と作成(既存サイトからのコピペは禁止、類似の記事があればそれをテンプレートとして利用等)
3)問題点
・アカウントの取得をせずに編集を行ったところIPアドレスブロックにあった(それ以降アカウント取得の上作業している)。
・未熟な記述(検証が困難、事典の記述にふさわしくない、など)
・記事が削除されたことがあった(コピペであった可能性があったため。記事の場所やイベントがなくなったため、など)
4)実習の教育効果(アンケート結果の紹介「誰にでも編集できて敷居が低かった」「その反面、簡単に信用しないことが大切」など)
5)Wikipediaの記事の引用
ネットにおける匿名記事の引用は好ましくない、
3.Infostaホームページのリニューアルについてアンケートの実施
4.OUGの今後の運用についてのアンケートについて説明
2014年1月度(第319回)ライフサイエンス分科会
開催日時: 2014年1月16日(木) 14:00~17:00
開催場所:一般財団法人 日本医薬情報センター 4階会議室
参加人数:16名
記入者:一般財団法人 日本医薬情報センター附属図書館 平山陽菜
内容:
1.医薬品と対応病名検索システム及び医薬品と対応病名データベース
一般財団法人 日本医薬情報センター(以下、JAPICという)が提供する医薬品と対応病名検索システムについての説明を行った。
・医薬品と対応病名検索システム(http://www.japic.or.jp/service/byomei/)
現在、医薬品の添付文書に記載されている効能効果と、レセプト請求の際に適用される標準病名の記載が異なっており、そのため、レセプト請求時の病名と医薬品の確認等のために、効能効果の記述と標準病名を紐づけるデータベースが求められている。JAPICではこの標準病名と効能効果を管理するデータベースを作成し、レセプト電算処理システムにデータを提供する他、医薬品と対応病名検索システムとして一般に公開している。
データの作成方法は、添付文書に記載されている効能効果を記述通りに抽出し、一致する標準病名と関連付けるというものである。単純な紐づけの場合、約20,000件ある標準病名に対し、効能効果を元にした医薬品対応病名は約2,000件と少ないため、ICD10コードなどから類似の病名を候補とし、専門家による客観的評価をもって医薬品と病名の妥当性のチェックを行うなど、採用病名数の増加を図った。その結果、医薬品対応病名は約2,000件から約14,000件と増加し、データベースを充実させることができた。
一般には無償で公開しているが、医薬品と標準病名の他、レセプト電算コードや薬価、添付文書(PDF)を閲覧できる有償公開も行っている。
2.WebAPIについて
近年注目されるWebAPIについて、話題提供を行った。
APIとはApplication Programming Interfaceを意味し、外部のプログラムから他のプログラムが管理する機能やデータを利用するための規約である。WebAPIを無料で公開しているシステムも多く、複数のWebAPIを利用したプログラムを第三者が開発するなど、広く利用されている。
WebAPIの多くは、URLに決まった形式のパラメータを送信することで利用が可能である。Googleの検索システムなどの他にも、ライフサイエンス分野ではPubMed、J-STAGE、CiNii、医中誌Web、SciFinder、OvidなどがWebAPIを提供している。
本報告では、実際にPHPやExcel VBAでJ-STAGEやPubMedのWebAPIを利用したシステムを披露され、その機能を確認した。プログラミングの知識が必要ではあるが、WebAPIを利用すれば自分好みのシステムが手軽に作成でき、業務の効率化に役立つものと考えられる。
2013年12月度(第318回)ライフサイエンス分科会
開催日時: 2013年12月19日(木)14:00~17:00
開催場所:文京シビックセンター(3階)障害者会館 会議室A
参加人数:8名
記入者:(一財)国際医学情報センター 原 千延
内容:1.検索演題(情報検索能力試験2013年1級の問題より)
ある体内挿入型の医療器具について、次のような問い合わせがあった。「初回の挿入から6年を迎えたため、器具の交換を行ったところ、交換挿入では見られないはずの作用が現れた。交換後に起こる作用について知見が欲しい」
これについて、以下の各問に答えなさい。なお、この医療器具は次のような特徴がある。
①この医療器具の効果を持続させるには、挿入から6年以内に新しいものと交換する必要がある。
②この医療器具は20年前に外国各国で承認を受け、日本で承認されたのは7年前である。
(1)求められる知見を提供するための調査を行う際、ポイントとなる点を3つ挙げなさい。
・国内での承認時期と器具の交換時期を考慮し、海外の情報も調査する ・患者に生じた作用は何か
・患者情報の収集(服薬、既往・現病と治療内容・・・など)
・医療器具の情報収集(名称、商品名、規格、型番、添付文書や説明書・・・など)
・文献データベースだけでなく、器具の承認情報や関連通知なども調査する などの回答があった。
また、この問題は調査を始める前の下調べのポイントが問われているとの意見もあった。
⇒ヒアリングの際のポイント
1)誰が、どのような状況、理由で求めているのか。情報入手の目的を把握する。
2)提供のニーズ(期限、整理した情報か、集めた情報全てか、網羅的か、主要な情報のみか)を確認する。
3)その上で、調査対象とする情報源や情報提供方法を定める。
(2)相談者が医師の場合または患者の場合で、知見を提供する際にそれぞれどのような配慮が必要か述べなさい。
医師の場合
・エビデンスの高い情報を優先
・見つかったすべての情報(判断するのは医師)
・医師の経験や知識を考慮する
・情報を整理して渡す/スピード重視で得られたものから渡す、いずれか希望を確認する。
・早急な処置が必要か確認
患者の場合
・不安をあおらない
・分かりやすい情報を選択する
・医療機関との信頼関係に配慮する
・提供しない(医師に確認するよう案内する)
患者に対しては、専門家でないことや医療機関との関係性を考慮した上で提供する意見と、「なりすまし」や誤解に基づくトラブルを考慮して原則として一切提供しないという意見があり、興味深い議論となった。
2.リンク集の見直し
前回の続き「4.役立つ機関」「5.EBM」「6.電子ジャーナル」と、全体の見直しを行った。今回の見直し作業はこれで終了し、分科会後にEBM部分の加筆と最終確認で完了とする事とした。
3.情報交換
PubMedに、検索結果のソート順「Relevance」が加わったことと、「PubMed Commons」を確認した。
2013年11月度(第317回)ライフサイエンス分科会
開催日時: 2013年11月21日(木)14:00~17:00
開催場所:文京シビックセンター(5階) 会議室A
参加人数:12名
内容:1.剽窃(盗用)の現状と問題解決 –Crossrefで採用されたCrosscheckを中心としたiThenticateの紹介」 (記入者:iGroup Japan 渡邉正樹)
講演者 笠間和喜(iGroup Japan) ,Laurie Mcarthur, Sami Hobson(iParadigms)
概要
日本での研究不正と剽窃(盗用)、世界の剽窃の状況を踏まえ、それらに対応するためのサービス、iThenticateを紹介する。
本サービスは、企業においては、研究品質の維持、研究助成金のチェック、社内刊行物のチェック、研究者には、出版前の引用や参考文献のチェック及び、共著者の作業部分の確認等で活用されると考える。iThenticateの機能を、デモを交えて紹介する。
1)研究論文における不正行為の状況
Nature掲載論文の実験の7割は再現できないという報告や、Pubmedの撤回論文の分析や、JSTによる研究不正分析から、論文不正のここ数年の増加状況、不正の内容を紹介。一度不正が見つかると長い期間にわたり記憶され、著者の研究に対する信用を激しく毀損することになり、著者にも組織にもダメージとなる。
2)剽窃はどこにでもある
剽窃が疑われる例をいくつか挙げ、なぜ剽窃行為が発生するのかについて、技術的な進歩と罪の意識の希薄さ、西洋と東洋の価値観の違いなどの可能性を指摘。
剽窃の定義、剽窃のパターンを紹介するとともに、剽窃防止のために学術界が採用しているソフトウェアCrosscheck/ iThenticateを紹介した。実際に投稿論文を取り扱う出版社で、Crosscheck/iThenticateを使用して類似度判定が論文採否の一つの指標として使われている状況。博士論文のオープンアクセス化により、論文不正を早期に発見する手段を備えることが今後ますます重要になるであろう状況についても紹介した。
3)iThenticateの取り組み
現在世界では700万人以上の研究者が2万5千強のジャーナルへの掲載を競っており、撤回論文の3分の2は不正によるものと言われている。撤回論文の数は年々増えているが、不正があっても公表されないこともあり実際の数を把握するのは困難である。論文不正が発覚すると個人レベル、組織レベルでも様々な不都合が発生し、それが大きなコストとなる。
いかに早期に不正を発見するかは学術界でも重要な課題であり、アメリカの出版倫理委員会(COPE)では、不正に対する対応フローチャートを作成し、メンバーに共有するなどをして対応している。
iThenticateの紹介。iThenticateは提出された論文を膨大なデータベースと比較し、剽窃の有無をチェックすることができるソフトウェアである。400億ページ以上のウェブページ、3億以上の学生レポート、1億3千万件以上の文献情報がデータベースに含まれ、特にインパクトファクター上位500の80%の学術雑誌が比較対象になっている。
4)iThenticateの画面を動画で紹介
・論文をアップロードし、オリジナリティチェックをする方法、チェック結果を表示する画面、一致パーセンテージと一致文献の確認方法などを紹介した。
関連リンク
iThenticate
http://www.ithenticate.com/
Turnitin
http://turnitin.com/ja/
plagiarism.org
http://www.plagiarism.org/
2.リンク集の更新作業 (記入者:鳥居薬品㈱ 西内 史)
10月より引き続き、確認と修正を行った。
3.検索システムと4.役立つ機関の途中までを更新した。3.検索システムについては、検索システムとデータベース提供機関に分けて、表示することになったが、内容が被る部分もあり、コメント欄で情報を補足した。
12月の会では4.役立つ機関から6.電子ジャーナルまで引き続き作業を行い更新作業を完了する予定。(11月までの更新ファイルはリンク集サイトに掲載している。)
2013年10月度(第316回)ライフサイエンス分科会
開催日時: 2013年10月17日(木)14:00~17:00
開催場所:文京シビックセンター(5階) 会議室A
参加人数:11名
記入者:SLAアジアン・チャプター2010年代表
Kokos Consulting
佐藤京子
内容:「SLA 2013 Annual Conference & INFO-EXPOのトピックス」
講演者:SLA アジアン・チャプター 佐藤京子
米国専門図書館協会(SLA:Special Libraries Association )の年会SLA2013 Annual Conference & INFO-EXPOのプログラムの中から、Pharmaceutical & Health Technology Divisionのトピックス講演を紹介した。
1.バイオメディカルビジネス:最近の動向、製品の諸課題と将来展望について
最近の状況:
パラダイム・シフト(重大な変化)が融資/資金提供、臨床研究開発、薬価、薬事行政の分野で起きてきている。
今後のバイオメディカル産業の世界市場予測は、2016年に 1.2兆ドル(120兆円:1ドル100円レート)、その内4,300億ドル(43兆円)がジェネッリク医薬品で形成されるという。
国別の市場占有率では、USAは2011年34%、2016年は31%シェアとなり、Pharmerging(医薬品新興国市場:BRICs(ブラジル、ロシア、中国、インド)にトルコ、メキシコ、韓国を加えた新興国7カ国)が2016年には30%になると予想される*
(* 当日の発表でPharmergingを製薬企業とバイオの合併企業と訳して説明しましたが、上記が正しい訳でした。)
バイオメディカル産業の傾向:
Ø 特許切れ問題やジェネリック医薬品等によって、米国製薬企業の研究開発ROI(投資利益率)は悪くなってきている
Ø 製薬大手(ビッグファーマ)は、バイオ製品と特殊専門分野に特化してきている
Ø 2012年に新医薬品が多く承認されたのは、良いニュースである(過去50年間でベスト3に入る)
Ø バイオテク企業の新規株式公開後の業績はそれほど悪くない
Ø ライフサイエンス分野への投資は、IT分野と同じぐらいの投資利回りを出している
将来展望:
— FDAは医薬品の承認を早くし、ブレイクスルー薬(画期的な薬)はフェーズ1で承認されるようになる
— 米国では、人材が製薬大手からCRO, CMOに移動し、地域的にも雇用の移動がおこる
— 製薬企業が協力するようになって、前競争的共同研究を増やすようになる(例:TransCelerate BioPharm Inc.)
— すでに、米国のヘルスケアが変化してきている
The Patient Protection and Affordable Care Act(PPCAC、患者保護並びに医療費負担適正化法, いわゆる「オバマケア」)によって、色々な変化が起きてきている。———医薬品の購入決定権がドクターから、病院の役員会や第三者組織(保険支払機関など)に変わる。患者や医療費支払い機関はエビデンスに基づいた価値、すなわち明らかに差が分かる効果を求める、など。
— 新テクノロジーによって、高額な臨床検査がもっと安く手軽なものに変わるだろう
以上のことから、バイオメディカル産業には今後下記の点が求められる。
— 有効性・安全性に優れた新規もしくは改良型製品を出す(画期的な製品が求められるが、少なくとも差別化できるような製品)
— 開発と生産性を効率化して、安価な製品を提供する
— 投資家にとっては、投資効率の良い産業になる
2.バイオビジネスのホットトピックス
インフォプロは、永続的に変化する景色に、どのように機敏かつ柔軟についていくか?
Ø 顧客が価値を認める製品・サービスを提供する
Ø ユーザーのニーズを良く聞く(「PubMed, Googleを使うな」と言うのではなく、なぜそれらをユーザーは使うのか?ユーザーが真に求めている物は何かを聞く)
Ø 「イエス」と答える(依頼事、プロジェクトへの参加などを求められたら、何でも「イエス」と必ず言う)
Ø Lの先を考える。(”L” ibrarianの仕事の先を考える。市場調査、分析、管理職、ナレッジマネジメント、文書管理など、ライブラリアンはこれらを行う能力を持っているのでチャレンジする)。
Ø そして、自分が理想とする仕事を作り出す。
当日使用しましたプレゼンテーションスライドは、SLA年会参加者のみに開示されている為、著作権など取り扱いに注意が必要です。必要な場合は佐藤までお知らせください。日本語注釈付きのものを、個別にお渡しします。
「リンク集の更新」
OUGライフサイエンス部会の「ライフサイエンス リンク集」更新作業について、配布資料を基に区分1~3について、下記の通り削除/更新確認、コメント追加確認を行った。現時点での改訂途中ファイルは、「ライフサイエンス リンク集」ウェブサイトにエクセルファイルで置いてある。
1.総合的な便利サイト
2.検索テーマ別サイト
医薬品
ニュース
学会
行政
統計
3.検索システム
今回から検索システムとデータベース提供機関に分けて、表示することになった。
なお、10月分科会後にJAPIC,IMIC参加者からの追加情報を頂いたものは、上記には記載していないがウェブサイトに掲載した更新ファイルに反映済みである。
11月の分科会で続きの更新を行う予定。
2013年9月度(第315回)ライフサイエンス分科会
開催日時: 2013年9月19日(木)14:00~17:00
開催場所:文京シビックセンター(3階)障害者会館 会議室C
参加人数:16名
記入者:NPO医学中央雑誌刊行会 黒沢俊典
「専門図書館における著作権とは」 講師:愛知大学 時実象一氏
著作権に関して、概説から具体的な権利の範囲等についてご説明いただいた。
■著作権概説
・著作権は知的財産権の一つで、他に産業財産がある。
・著作権は、著作者の権利と著作隣接権に分かれる。なお、著作者の権利には、著作権(財産権)と著作者人格権があり、著作者人格権はさらに公表権、氏名表示権、同一性保持権に分かれる。
・著作隣接権とは、著作物を伝達する人の権利である。例えば、ある著作物を演奏している演奏家などがそれにあたる。著作隣接権は拡大解釈され、レコード会社や放送局が持っていることもある。
・人格権は権利者から権利が移ることはないが、財産権は死後であっても譲渡できる。
・以下の場合は、著作権者の許諾を必要としない
・保護の対象外
創作性がないもの/アイデア・思想・感情/判決文 など
※記事・論文等の数値データ自体には著作権が発生しない。ただし、グラフや表については創意工夫があるので、そのまま使用せず作り直したほうがベター。
※新聞の見出しには著作権はない。著作権を認めない判例も存在する。しかし、それで商売を行うと不正競争防止法に抵触する恐れがある。また、新聞社は見出しにも著作権があると主張している。
・保護機関満了
個人=死後50年/団体=公表後50年/映画=公表後70年 など
・権利制限規定に該当
私的利用や図書館等における複製/引用/非営利・無料の貸与/行政・立法・裁判等のための複製/授業での利用/障害者のための複製 など
※アメリカでは、連邦政府職員の書いた文書には著作権がない。そのため、例えば、NIH職員が執筆した学術論文には著作権がない。
※障害者のための複製についてはかなり自由になってきている。
・著作権者が自由利用を認めている — クリエイティブ・コモンズ/GNU など
・複写サービスを行う場合の著作権処理は、著作権管理団体(JCOPY/JRRC/JACなど)と包括的に行われることが多い。
・許諾を得ようとしても著作権者が見つからなかった場合、一定の要件を満たせば、文化庁長官より該当著作物の利用が認められる。
■Q&A
以下の図書を使用し、著作権に関する具体的なQ&Aについて説明をいただいた。
使用図書: 専門図書館と著作権Q&A 2012 専門図書館協議会;2012.
2013年7月度(第314回)ライフサイエンス分科会
開催日時: 2013年7月18日(木)14:00~17:00
開催場所:文京シビックセンター 5階 会議室A
配布資料:「生命科学DB統合のためのNBDCサービスの紹介(最近1年間の変更を中心に)」
「新しい日本語Webコンテンツ,「新着論文レビュー」と「領域融合レビュー」」
「生命科学分野の文献を利用したサービス」
参加人数:13名
記入者:あすか製薬 佐々木享子
「バイオサイエンスデータベースセンター最近1年間の変更」
1.生命科学DB統合のためのNBDCサービスの紹介(最近1年間の変更を中心に)
バイオサイエンスデータベースセンター 三橋信孝
(1)Integbioデータベースカタログ
・国内外の生命科学系DBの所在情報、説明や生物種などの基本情報を提供するカタログ
収録DB数:1200件以上(国内800件以上)
・DB名、URL、運用機関名、生物種など16種類の記述項目がある
・DBをキーワード検索やカテゴリから探すことができる
・カタログの全データをダウンロード可能
複製、改変などが可能なCC0ライセンスのもと配布
(2)生命科学データベース横断検索
・分子DBの中を文献や特許情報とあわせて一括検索できる
検索対象DB数:約400件
・検索キーワードの日英相互翻訳
日英の辞書(京都大学 ライフサイエンス辞書)を搭載
・検索結果の絞込み機能
DBのカテゴリ、ヒト遺伝子名称
・類似キーワードの表示
(3)生命科学データベースアーカイブ
・国内で作成されたDBを丸ごとダウンロードできるサービス
収録DB数:約60件
・CSVやRDF形式でデータをダウンロード可能
・DBやデータについての説明(メタデータ)
・データはCCライセンスで配布
2.新しい日本語Webコンテンツ、「新着論文レビュー」と「領域融合レビュー」
ライフサイエンス統合データベースセンター 飯田啓介
(1)新着論文レビュー
・Nature、Scienceなどのトップジャーナルに掲載された日本人を著者とする生命科学分野の論文について、論文の著者自身の執筆による日本語のレビューをWeb上で無料で公開。
・コンテンツの自由な引用・転載・再利用が可能。
・これまで、400以上のレビューを公開。
・論文の出版から1か月以内の公開を目標とし、遅くとも2か月以内には公開。
・毎月平均12本以上、年間で150本以上の公開を目標としている。
(2)領域融合レビュー
・日本分子生物学会、日本蛋白質科学会、日本細胞生物学会、日本植物生理学会との協力のもと、発信・公開される日本語コンテンツ。
・ある学問分野・領域を広く総合的にとりあげる比較的長いレビューを公開・出版する。
・執筆者・執筆テーマの選定は、それぞれの学会から推薦された編集委員により構成される編集委員会において行う。
・用字・用語の統一や、生命科学専門の編集者の視点からの修正を行う。
3.生命科学分野の文献を利用したサービス
ライフサイエンス統合データベースセンター 山本泰智
(1)Allie
・生命科学分野において利用されている略語とその展開形を検索するサービス。
・MEDLINEに収録されている文献のタイトル及び抄録を対象とし、略語と展開形を検索。
・検索結果の略語又は展開形をタイトルか抄録に含むPubMed/MEDLINEの書誌情報や、共起する他の略語が得られる。
(2)inMeXes
・be associated に続く前置詞として相応しいものは何か? といった問いに対応できるように作成された。
・PubMed/MEDLINEに収録されている文献のタイトル及び抄録に10回以上出現する2語以上から成る表現を逐次的に検索。
・結果はPubMed/MEDLINE中での出現頻度と共に表示される。
(3)TogoDoc
・PubMed IDのリストを登録することで、興味がある関連文献の取得や、整理ができる。PubMed検索結果の書誌情報の登録や、RIS形式ファイルのアップロードでも可能。
・ダウンロードした論文のPDFファイルを効率よく整理できるフリーの文献管理ソフトTogoDoc Clientと連携して文献情報を管理できる。
・TogoDocMobileをiPhoneやiPadなどのiOS搭載端末にインストールしておけば、TogoDocに登録した文献の新着お薦め文献を簡単にチェックできる。
2013年6月度(第313回)ライフサイエンス分科会
開催日時: 2013年6月20日(木) 14:00~17:00
開催場所:化学情報協会 メリノ六義園ビル 3 階会議室
配布資料:「SciFinder (Web 版) 最近の強化について:2012 年 4 月~ 2013 年 4 月のバージョ ンアップ内容」
「STN 医薬系データベースの強化 2012 年 6 月 ~ 2013 年 5 月分」
参加人数:10名
記入者:記入者:化学技術協会 渡辺麻未、橋永麻緒
SciFinder (Web 版) 最近の強化について:2012 年 4 月~ 2013 年 4 月のバージョンアップ内容
1.情報の強化
(1) 反応情報の実験項収録 (Springer 社雑誌,Thieme 社雑誌,SORD 由来情報など)
(2) NMR スペクトル情報の追加
(3) 特許の代表図面追加 (米国,韓国,日本)
2.物質検索機能の強化
(1) 物性値検索 (Experimental,Predicted) など
3.反応検索の強化
(1) 反応タイプ別のグルーピング機能
(2) 反応の役割 (ロール) 初期設定を変更
4.その他の強化
(1) 文献・物質情報のクイックビュー機能
(2) ログインの簡略化 (Remember Me 機能)
(3) ページ番号切り替え機能の改善
(4) 日本語ヘルプの搭載 など
5.最新バージョンは 6 月末にリリース予定.ユーザーがより効率的に検索できるような画面配置の刷新を行う予定.
6.SciFinder と PubMed のキーワード検索の違い
STN 医薬系データベースの強化 2012 年 6 月 ~ 2013 年 5 月分
1.MEDLINE ファイル
・UNII コード:収録開始
・ePub Ahead-of-Print の強化 (EPUB PMID WITHDRAWN 収録)
・検索例:バイアグラに関する副作用文献を網羅的に調査する
2.EMBASE / EMBAL ファイル
・会議抄録・会議総説情報:収録開始 (EMBASE)
・EMTREE 語:オンライシソーラス更新
・Article-in-Press :収録開始 (EMBAL)
・アルゴリズム付与の EMTREE 語索引追加 (EMBAL)
・検索例:中心静脈カテーテルを幼児に対して使用した際に発生する血栓症について調べる
3.IMSPATENTS ファイル
・リロード
4.SciSearch ファイル
・助成金情報:収録開始
・検索例:乳がん診断に関する助成金提供機関の解析
5.USGENE ファイル
・NCBI,EMBL オリジナルデータへのリンク
2013年5月度(第312回)ライフサイエンス分科会
開催日時: 2013年5月16日(木) 14:00~17:00
開催場所:文京シビックセンター 5階 会議室A
参加人数:19名
内容:新JDreamIII関連の話題
記入者:(株)ジー・サーチ 川原 綾
1.JDreamⅢの概要
2013年4月に始まったJDreamⅢについて、その概要とJDreamⅡからの変更点を中心にご紹介した。JDreamⅢは独立行政法人科学技術振興機構が作成するデータを、ジー・サーチが提供するサービスで、クイックサーチとアドバンスドサーチという二つのモードでご利用いただける科学技術文献検索サービスである。
1)JDreamⅢの概要
事業仕分けを経て、ジー・サーチがサービスを開始するまでの経緯
クイックサーチとアドバンスドサーチの特徴
クイックサーチとアドバンスドサーチの検索方法
2)JDreamⅡからの変更点
サービスに関する変更点:搭載ファイル等
検索に関する変更点:レコード全体(/QS)の登場による検索対象範囲の違い等
3)関連サービス
海外文献のPDF複写:Mobile Library
企業情報、新聞雑誌記事横断検索:G-Searchデータベース
2.デモンストレーション
各検索画面および個々の機能を実際にご覧いただき、ご要望をお伺いした。
2013年4月度(第311回)ライフサイエンス分科会
開催日時: 2013年4月18日(木) 14:00~17:00
開催場所:印刷博物館(東京都文京区水道1-3-3トッパン小石川ビル)
参加人数:11名
内容:印刷博物館見学会
記入者:鳥居薬品(株) 西内 史/旭化成ファーマ(株) 廣谷 映子
見学内容は次の5部構成である。
1.プロローグ展示ゾーン見学: 印刷文化の流れを一望する大壁面に約100点の展示物
2.VRシアター視聴: 3台のプロジェクターがスクリーンに映し出す、臨場感あるマチュピチュの空撮映像(地上からの撮影を元に計算によりCGで作成されたもの)
3.総合展示ゾーン見学: 『解体新書』、『ターヘルアナトミア』、グーテンベルク『42行聖書』(原葉)等の貴重書や版画等を映像と音声による解説で理解する。
4.ライブラリー見学: 印刷に関する書籍のほか、社史も多い。資料は閉架だが一般にも公開されている。一般のほか博物館学芸員にもよく利用されている。
また、OPACはweb公開あり。
5.印刷工房にて活版印刷体験: 活字を用い「版」を組み手動印刷機で印刷を体験する
感想
印刷博物館は、単に印刷や印刷物の紹介だけではない。古来より文字や絵を記すことにより情報、芸術、政治、宗教、文化が伝承されてきたわけであるが、効率的な伝承に大きく貢献したのが複製し伝えるという「手法」であり、それがすなわち印刷技術なのである。文字や絵、映像の複製・記録によって、私たちの社会、文化がいかに発展して来たのかがわかる。印刷を主軸にした「知」の伝達・伝承の歴史を知ることができる。
展示の主観が、文字、絵などの物理的な可視化物ではなく、印刷という「手法」であることも面白く感じた。それは、情報を検索する我々の仕事にも似ている気がした。情報を収集、整理、利用する我々インフォプロの仕事の意義にも通じるところがあり、大いに刺激を受けた。
また、現代ではデジタル技術の発展により印刷物をはじめとする可視化物がデータに依存している。過去には書籍なり図版なり実体のある可視化物が「知」の伝達・伝承に貢献してきたが、データは再生機能が無ければ実体が見えない。情報を扱う者として将来を見据えたアーカイブ技術の課題についても考えさせられた。
丁寧にご説明頂いた印刷博物館のスタッフの加藤様、山崎様、小浦様に感謝を述べたい。