2002年2月15日

社団法人 情報科学技術協会
会長 近江 晶 様

株式会社 日本著作出版権管理システム
                    代表取締役社長 金原 優

著作権集中管理事業団体の統合化のための要望(提言)に関する回答


 平成14年1月25日付の貴協会要望書について弊社の見解を申し述べます。

1. ご指摘の通り、著作物の複写に係る権利を集中管理する団体として(社)日本複写権センター、(株)学術著作権処理システムならびに弊社がそれぞれ設立されておりますが、弊社は日本複写権センターにおいて特別な条件による複写許諾の対象となる出版物(いわゆる「白抜きR」)の取り扱いが中止されたことにより設立されたものであります。本来は「白抜きR」を含めて日本複写権センターは全ての著作物複写の取り扱いを行うべきであり、日本複写権センターが「白抜きR」の取り扱いを中止したことは弊社としても大変遺憾であります。
  そもそもこの「白抜きR」については、弊社の設立母体でもある(社)自然科学書協会が所属する出版者著作権協議会が1999年10月1日に日本複写権センター宛要望書(コピー添付)を提出し、「白抜きR」の許諾業務が本来の目的に沿って機能するための方策を講じて頂きたい、旨の申入れを行っています。更に、同協議会はその要望書において、必要であれば人的、経済的な支援も行う用意があることも述べています。ところが、日本複写権センターはその申入れとは全く逆に「白抜きR」は今後取り扱わないと理事会で決議しました。その決定を受けて、自然科学書協会は、日本複写権センター宛に同センターの理事会決議は時代に逆向するものとして抗議書を提出しております。
  かかる状況において日本複写権センターが方針を変更し、かつての「白抜きR」が中心となっている弊社の管理著作物まで含めて全ての著作物の管理業務を行う体制を確立すべきである、という貴協会の意見に賛成するものであります。


2. 日本複写権センターと米国CCCの交渉が中断されたことは、日本複写権センターが2円という超低額、かつ一律の単価のみを採用していることに原因があることは明らかです。日本複写権センターが早急にCCCの管理著作物を日本において管理できる新しい課金システムをつくり、CCCと契約すべきであるという貴協会の意見には賛成致します。上記の出版者著作権協議会の日本複写権センター宛要望書にはこの問題についても言及しております。

3. 今後日本複写権センターは(株)学術著作権処理システムならびに弊社の意向を確認しながら三団体の統合に向けて最大限の努力を払うべきですが、その過程において利用者団体からも複写利用の要望、必要性と利用の実態、許諾と使用料支払の方式、適正な価格、その他利用者としての意見を聴取することが必要であると考えます。利用者団体としては経団連あるいは貴協会がその代表的なものでしょうが、利用者にも現在行われている複写の多くが著作権法に違反する行為であり、特に学術専門書の分野においては複写の対象となった出版物の売上に多大な影響を与えていることを強く認識して頂きたいと思います。
  また、複写利用は社会における利用実態が先行しているとは言え、決して利用者に当然に与えられた権利ではなく、限定された例外を除いて、事前許諾を得なければ一切行えない行為であることも深くご理解頂きたいと考えます。今後利用者にも全く新しい次元で適切な複写使用料の設定に理解と協力を頂き、権利者の利益を保護すると同時に学術専門書が継続して発行される環境を権利者と共に作っていくことに協力されるようお願いする次第です。

以上