- 特集 : 「オープンソースソフトウェア:OSS」の編集にあたって
……… 47
- 図書館サービスとオープンソースソフトウェア
高久 雅生……… 48
- オープンソースソフトウェアの開発事例とコミュニティ
山地 一禎……… 54
- OSSと著作権ライセンス-歴史的展開とライセンス類型概観
志賀 典之……… 60
- じょいんと懇話会開催報告
西日本委員会……… 66
- 書評
……… 67
- INFOSTA Forum (278)
小林真理絵……… 69
- INFOSTAの活動紹介(1)
……… 70
- 協会だより
……… 71
- 編集後記
……… 73
特集 : 「オープンソースソフトウェア:OSS」の編集にあたって
OSSはソフトウェアのソースコードを利用者が自由に扱え,商用利用したりすることを認めるソフトウェアです。具体的な例としては,Unix系OSでのソフトウェアとして最も普及しているLinuxをはじめ,ウェブ技術構築の際に利用されるウェブサーバApacheHTTPDやウェブブラウザMozilla Firefox,Google Chromeなどがあり,私たちは特に意識をすることなくOSSを利用しています。ソースコードが無償で提供されることにより,安価なシステム構築に欠かせない存在となっているOSSは,情報センターや図書館がサービス提供する際のシステム構築や業務支援にあっても欠かせない存在となりつつあります。
本特集では,OSSについてあらためてその意義や課題について検討するため,様々な角度からの論考を集めました。
特集の構成は以下のとおりです。まずはじめに,高久雅生氏により,「オープンソースソフトウェア」とはどのようなものか概略していただくとともに,図書館サービスに密接に関連したさまざまな国内外のOSSを取り上げその特徴などを解説いただきます。さらに,山地一禎氏から,学術機関においてOSSを開発・活用する意義を概説していただくとともに,ご自身が開発に携わられたWEKOの事例紹介をしていただきます。最後に,志賀典之氏からはOSSライセンスの法的性質やコピーレフトの強度に応じたOSSライセンス各類型について詳細な解説をいただき,OSSの導入にあたって注意すべきポイントをご指摘いただきます。
以上,様々な観点からご執筆いただきました。この場をかりて御礼申し上げます。論考の本数は少ないですが,本特集がOSSがもつさまざまな要素に触れ,読者の皆さまの理解を助け,サービス開発や導入の参考になれば幸いです。
(会誌編集担当委員:上野友稔(主査),小山信弥,白石啓,立石亜紀子)
図書館サービスとオープンソースソフトウェア
高久 雅生
*たかく まさお 筑波大学図書館情報メディア系
〒305-8550 茨城県つくば市春日1-2
Tel. 029-859-1394 (原稿受領 2013.12.12)
15年間にわたるオープンソース運動を振り返りながら,図書館サービスとの接点,オープンソースソフトウェアの利用事例を紹介する。図書館サービスにおけるオープンソースソフトウェアの例として,図書館管理システム,機関リポジトリ,次世代OPACといった分野を取り上げ,国内及び海外の事例を紹介する。近年の図書館サービスの文脈におけるオープンソースソフトウェアの課題として,クラウドコンピューティングの進展やオープンデータ,人材育成などの観点から考察し,今後の課題を述べる。
キーワード:オープンソース,図書館管理システム,機関リポジトリ,ディスカバリーインタフェース,クラウドコンピューティング,オープンデータ,システムライブラリアン,人材育成
オープンソースソフトウェアの開発事例とコミュニティ
山地 一禎
*やまじ かずつな 国立情報学研究所 学術認証推進室
〒101-8430 東京都千代田区一ツ橋2-1-2
Tel. 03-4212-2656 (原稿受領 2013.12.9)
大学や研究機関では,多くのオープンソースソフトウェアが公開されている。その多くは,個人やチームで利用するものを単に公開しているにとどまり,大きなコミュニティにまで発展している例は数少ない。あるいは,日本の学術関係者が海外のオープンソースソフトウェアの開発に積極的に関与している例も多くない。諸外国に比べ日本では,オープンソースソフトウェアに対する理解や活動が低いのが現状である。本稿では,学術機関においてオープンソースソフトウェアを開発・活用する意義を概説するとともに,これまでに開発してきたリポジトリソフトウエアWEKOの開発事例を紹介する。さらに,筆者が関係しているオープンソースコミュニティの活動状況や,その背景にある政治的な側面についても言及する。
キーワード:機関リポジトリ,CMS,NetCommons,Shibboleth,SAML,学術認証フェデレーション,学認
OSSと著作権ライセンス-歴史的展開とライセンス類型の概観
志賀 典之
*しが のりゆき 常葉大学法学部法律学科講師
〒422-8066 静岡市葵区水落町1-30 常葉大学法学部
Tel. 090-5361-7944 (原稿受領 2013.12.13)
オープンソース・ソフトウェアの核心要素であるソースコードの公開,自由な複製・改良・頒布を可能ならしめるのが,ソース・コードの公開をソフトウエアの配布等の条件とするライセンス(著作物利用許諾)である。本稿では,OSSの概念形成の沿革を概観し,排他的独占権である著作権を用いて逆説的にソフトウェアの非排他性の保証を実現しようとしたフリー・ソフトウェア運動及びコピーレフトの概念を概説したのち,OSSライセンスの法的性質,コピーレフトの強度に応じたOSSライセンスの各類型について述べ,近時指摘される実務上の留意点につき示唆を試みる。
キーワード:ライセンス,著作権,コピーレフト,フリーソフトウェア,GNU/GPL,FOSS,FLOSS
次号予告
2014. 3 特集=「第10回情報プロフェッショナルシンポジウム」
(特集名およびタイトルは仮題)
- 特別講演を聴講して
- トーク&トークを聴講して
- プロダクトレビューに参加して
- INFOSTA Forum (279)
- 2013年度 情報検索基礎能力試験 解答
- 2013年度情報検索能力試験 合格者(その1)
など