2023年2月1日制定
(一社)情報科学技術協会
1. はじめに
会誌『情報の科学と技術』に投稿された記事原稿のうち、原稿種別が原著論文であるものについては査読を、それ以外の原稿種別(総説・解説、事例報告、体験記、主張・提言・エッセー、翻訳・抄訳記事、集会等の報告、プロダクト・レビュー、その他)であるものについては校閲を行います。査読または校閲により採択された原稿が会誌に掲載されます。
ここでは、査読と校閲の方針及び方法について、執筆者に知っていただきたいことを記述します。執筆者の資格、投稿の手続き等については「『情報の科学と技術』に投稿される方へ」(以下「投稿される方へ」と略記)に、原稿の長さ、書き方、著作権等については「『情報の科学と技術』原稿執筆の手引き」(以下「執筆の手引き」と略記)に記されていますので、合わせてお読みください。
2. 査読、校閲に共通の事項
2.1 原稿受領時の確認
原稿の受領後(事務局に届いた日を受領日とします)、編集委員会はまず以下のことを行います。
原稿が以下に該当する場合、受領できない旨を執筆者に通知します。
- (i) 執筆者が投稿の資格を満たしていない場合。共著の場合はそのうちの少なくともその1名が資格を満たしている必要があります。(「投稿される方へ」の2を参照)
- (ii) 内容が本誌の目的とかけ離れている場合
- (iii) 「投稿される方へ」または「執筆の手引き」の規定に著しく反する場合
- (iv) その他、本誌の記事として不適切とする合理的理由がある場合
原則としては執筆者の選択した種別を尊重しますが、種別が明らかに異なると考えられる場合、理由を付して執筆者へ検討を求めます。但し、執筆者が非会員の場合は,非会員に認められる原稿種別の範囲に限ります。
2.2 記事採録の基準
原稿種別に限らず、会誌に掲載する記事には次のことが求められます。査読、校閲の際にはまずこれらの事項について精査します。
本誌の読者(主には本会会員)にとって有益な情報を含み、読者の関心を呼ぶと思われる内容であること。
論旨に一貫性、正確性があり、全体がそれに沿って構成されていること。内容に信頼できる根拠が示されており、少なくとも重大なミスや事実誤認がないこと。但し、原稿種別が主張・提言・エッセーの原稿については、論旨が明快で一貫しておれば、必ずしも信頼できる根拠が示されておらず、主観・私見が相当含まれていてもよいものとします。
文章や用語に読みにくいところ、意味がとりにくいところ、誤解を生ずるところがないか、読者の理解を容易にするため削除したり補足したりした方がよい部分がないか、図表は鮮明で本文の内容に合っているか、など。
関連する重要な先行研究、先行事例が含まれており、読者に当該テーマの現状を総合的に理解させる記事になっていること。但し、原稿種別が体験記、主張・提言・エッセー、集会等の報告の原稿についてはこの基準は適用しません。
「原稿執筆の手引き」との齟齬がないこと。
2.3 記事不採録の場合
2.2で述べた基準から大きく逸脱する原稿は不採録とします。それ以外に、以下の場合不採録とします。
二重投稿は禁止しています。詳しくは「投稿される方へ」の5を参照下さい。
詳しくは「投稿される方へ」の【別紙】を参照下さい。
2.4 執筆に当たって注意願いたい事項
原稿の内容に関わることではありませんが、以下の点に注意して執筆ください。
1記事内では、同じ意味の語句の記述方法はできるだけ統一してください。(例:「行う」と「行なう」)
次の点に注意してください。
- 主語、述語の対応関係は正しいか
- 誤字、脱字、漢字変換ミスがないか
- 複数の解釈ができてしまう文ではないか
- 一般読者の視点から理解しにくいと考えられる箇所については、簡単な解説の追記、または根拠となる参考文献の追加等をご検討ください。
- 読みにくいと思われる文は、文の分割、段落分け、箇条書き等をご検討ください。
- 参照番号を挿入した本文中の文章と、参照文献の内容との整合性に留意してください。
- 参照文献に記述した書誌事項に誤りがないようお願いします。他の文献の参照文献リストからコピーするのではなく、原記事によって確認してください。
- Web頁参照の場合、URLがリンク切れしていないか確認してください。
- 記述法はSIST基準に準拠してください(「執筆の手引き」の6.7を参照ください)。
3. 原著論文査読の方針と方法
3.1 査読の観点
本誌の原著論文は、必ずしも学術的新規性・独創性を求めるものではなく、科学的健全性(scientific soundness)を満たしており、本誌の目的に照らして公開の価値があることを審査するものとします。採択の要件は、2.2で述べた(1)~(5)のほか、以下の通りです。
必ずしも学術的新規性・独創性は問いませんが、何らかの意味で価値のある知見(新しい事実または独自の発想や考察)が提示されている必要があります。論文の結果、考察、あるいは結論を述べる箇所で、その知見を明確な形で示してください。その知見がnegative results(ある仮説が否定された、あるいは成否が実証できなかった結果)であっても、他の要件を満たしておれば採択します。
原著論文の多くは、序論(背景と目的)、先行研究の概観、用いたデータと方法、結果、考察、結論、という章構成になっています。この通りである必要はなく、また、複数の章を合体しても結構ですが(例えば「結果と考察」)、この流れに沿って論旨を明確に記述してください。
発表する研究に関して、既知の事項、重要な未解明事項を簡潔に記した上で、研究の目的とその意味を、その分野外の読者にも理解できるように述べてください。できれば、研究課題(research questions)または仮説を併せて示してください。
網羅的である必要はありませんが、密接に関係のある先行文献に言及し、参照文献に挙げてください。
調査あるいは実験とそれに基づく分析の場合は、用いた情報源、調査と分析の方法を、同分野の読者が追跡・再現できる程度に詳しく述べてください。論考や思索による研究の場合は、用いた理論やモデルと、それらを敷衍した方法を述べてください。これらの情報源、方法、理論やモデルが公知されている場合は、主要な文献を参照し、詳細は省略しても結構です。
得られた結果を、当初設定した目的、仮説、研究課題(research questions)に照らしてその意味や重要性を考察し、研究目的に対応させて結論を述べてください。当初の仮説に反する結果になることは構いません。結論は、得られたデータや推論などの客観的根拠に基づき導かれていることが重要です。当初の目的とは直接関係のない結果が得られた場合は、その旨を記してください。
なお、結論を示すのに必要なデータが大量にあって所定の原稿の長さに収まらない場合は、J-STAGE data等のデータ共有・公開サイトをご利用ください。(会誌ウェブサイト(https://www.infosta.or.jp/journal-top/)に記載の「『情報の科学と技術』データ共有・公開ポリシー」を参照)
3.2 査読の方法
以下の手順によります。
編集委員長は、メタレビュアー1名を編集委員の中から選任します。
メタレビュアーは査読者2名を選任し、査読を依頼します。査読者は原則として編集委員以外の専門家(会員であってもなくても可)としますが、適任者がいれば編集委員から選ぶこともあります。なお、メタレビュアーと査読者には、執筆者と指導・被指導、共同研究、親戚・姻戚等の関係にある者、執筆者と何らかの論争関係にある者は避けることとし、選任時にメタレビュアー、査読者に確認を行います。
メタレビュアー、査読者は執筆者には匿名とします。査読者には、原稿に示されている以外の執筆者の個人情報は知らせません。
査読者2名は、この資料の2.2及び3.1に立脚してそれぞれ独立に査読を行い、判定結果とその理由を記した査読報告書をメタレビュアーに提出します。
査読者から執筆者への照会は、1回に限り認めています。1回に限定するのは、両者の間で過度の討論に陥ることを避けるためです。照会とそれに対する回答は編集事務局を通して行います。
メタレビュアーは、査読者2名の意見を踏まえた上判定を行います。判定は下記のいずれかです。
- (a) そのまま採択
- (b) 軽微な修正を求めて採択
- (c) 修正を求めて再査読・校閲
- (d) 不採択
この判定結果と付記事項を、編集委員長名で編集事務局を介して執筆者に通知します。原稿を受領してから執筆者に結果を通知するまでの期間は、1か月以内を目標としています
- (a)の場合は、その決定があった日を受理日とし、直ちに掲載手続きに進みます。
- (b)の場合は、付記された要修正事項に基づいて執筆者から修正原稿が送られ、正しく修正が行われていると確認されれば、採択されて掲載手続きに進みます。採択された日を受理日とします。なお、要修正とされた事項に反論があってその旨を編集事務局に伝えていただければ、検討致します。
- (c)の場合は、付記された要修正事項をご検討の上、通知日から6ヶ月以内に、修正原稿及び修正箇所とその説明を記した書面の提出をお願いします。提出があった場合は再査読を行い、上記(3), (4)の過程を繰り返します。なお、6ヶ月を越した後に修正原稿が提出された場合は、新たな投稿として扱うことになります。
- (d)の場合は、不採択理由を付記します。
判定結果が(c)または(d)の場合、他の原稿種別ならば判定結果を緩められると編集委員会が判断すれば、執筆者への連絡の際にその旨を付け加えることがあります。執筆者がその案を受け入れれば、それに沿って修正した原稿を提出していただき、改めて校閲を実施します。
判定が(c)であった場合、(5)に述べたように、6ヶ月以内に修正原稿及び修正箇所とその説明を記した書面が提出されれば、原則として同じメタレビュアー、査読者で再査読を行います。再査読では、前回の査読・校閲の際指摘した事項及び執筆者が新たに追加した事項についての意見に留めます。やむを得ず新しい事項について意見するときは、その理由を執筆者に説明します。査読者が前回指摘した意見に対し、執筆者が修正をしなかった場合、あるいは別の考えによる修正を行った場合、それに対する執筆者の説明が合理的であればそれを受け入れます。
4. 原著論文以外の記事種別に対する校閲の方針と方法
4.1 校閲の観点
採択の要件は、2.2で述べた(1)~(5)のほか、記事種別に応じて以下の通りです。
関連する重要な先行研究、先行事例が含まれており、読者に当該テーマの現状を総合的に理解させる記事になっていること。
訳が適切で誤りがないこと。抄訳の場合、重要な部分を漏らさず、もとの記事の趣旨を正しく伝えていること。なお、もとの記事の著作権者の許諾を必ず得て、そのことを注記してください。
報告している事例について、調査・観測・分析等の目的と方法、得られた結果が明示されていること。
これらについては、2.2の指針のうち(4)は要求しません。また、主張・提言・エッセーについては、論旨が明快で一貫しておれば、必ずしも信頼できる根拠が示されておらず主観・私見が相当含まれていてもよいものとします。
営業・宣伝的記述は許されるが、あくまで事実に基づき、過度に主観的表現になっていないこと。
まず、上記(1)~(5)のどの原稿種別に最も近いか判断し、それぞれの観点に準じて校閲を行います。
4.2 校閲の方法
以下の手順によります。
編集委員長は、主査1名を編集委員の中から選任します。
主査は副査を指名します。副査は総説・解説、事例報告、翻訳・抄訳記事の場合2名、その他の記事では1名です。副査は原則として編集委員から選定しますが、原稿の性質によっては編集委員以外の専門家(会員でなくても可)に依頼することもあります。
主査と副査は2.2及び4.1に立脚してそれぞれ独立に校閲を行い、副査は結果を主査に報告します。
主査はそれらの報告を調整し、校閲結果を取りまとめます。判定は下記のいずれかです。
- (a) そのまま採択
- (b) 軽微な修正を求めて採択
- (c) 修正を求めて再校閲
- (d) 不採択
この判定結果と付記事項を、編集委員長名で編集事務局を介して執筆者に通知します。原稿を受領してから執筆者に結果を通知するまでの期間は、1か月以内を目標としています
- (a)の場合は、その決定があった日を受理日とし、直ちに掲載手続きに進みます。
- (b)の場合は、付記された要修正事項に基づいて執筆者から修正原稿が送られ、正しく修正が行われていると確認されれば、採択されて掲載手続きに進みます。採択された日を受理日とします。なお、要修正とされた事項に反論があってその旨を編集事務局に伝えていただければ、検討致します。
- (c)の場合は、付記された要修正事項をご検討の上、通知日から6ヶ月以内に、修正原稿及び修正箇所とその説明を記した書面の提出をお願いします。提出があった場合は再校閲を行い、上記(3), (4)の過程を繰り返します。なお、6ヶ月を越した後に修正原稿が提出された場合は、新たな投稿として扱うことになります。
- (d)の場合は、不採択理由を付記します。
判定結果が(c)または(d)の場合、他の原稿種別ならば判定結果を緩められると編集委員会が判断すれば、執筆者への連絡の際にその旨を付け加えることがあります。執筆者がその案を受け入れれば、それに沿って修正した原稿を提出していただき、改めて校閲を実施します。