2003年5月16日
複写権問題対策委員長 鈴木博道
平成15年5月16日(金)19時より、協会会議室で(株)学術著作権処理システム(以下「ACCS」)の中西敦男社長・有限責任中間法人学術著作権協会の中嶌勉総務部長を招き、臨時の委員会を開催しました。目的は、ACCS扱いCCC管理著作物からエルゼビア・グループの刊行物が外れるとの情報を耳にしたため、事実関係を確認する、ことでした。エルゼビア・グループの学術刊行物の世界でのシェアは40%とも言われ、これが対象となるか否かで大きな影響があること、また、エルゼビア・グループの動きが他の海外出版社の追従に繋がるものであるかの見極めも大切です。概要は以下の通りです。
(1) 事実関係の説明
- 2003.4.1、CCCよりACCS/CCC管理著作物ライトホルダーのリストからエルゼビアサイエンスなど9社を削除する、とのメールが届き、CCCやエルゼビア日本支社などとの連絡をとって事実確認とACCSとしての要望等をしてきた。
- 学術著作権協会(以下「学著協」)とCCCとの協定ではこの種の変更は、最低60日の猶予期間で有効とされており諸般の事情を判断して6月1日から発効するものと解釈される。
- このため、ACCS/CCCの管理対象出版物からエルゼビアサイエンスのものなどが6月以降外れることとなる。
- 一般利用者には6月1日からACCSのホームページで公表する予定である。
- 未だ文案は出来ていないが、5月までの契約では、期限満了となるまでは契約時のライトホルダー・リストが有効であることを明らかにする予定である。
- 学著協とCCCの契約自体は、1頁50円の単価を含めて、協定書本体2003.12以降も継続する予定になっている。
(2) 経緯の説明
- 学著協が1999.12.1にCCCと契約した際の協定書に添付された2,100のライトホルダー・リストにはエルゼビア各社も入っていた。
- 当初からエルゼビアはこのリストにエルゼビアが含まれていることに異議を唱えていたようである。
- この協定書中には、ライトホルダー・リスト変更時の60日間猶予、などの条件が書かれている。
- JRRCとCCCの交渉決裂後になって、学著協がCCCと包括契約に関する協定書を取り交わしたが、その際の2002.1の協定書に添付されたリストでもエルゼビアは外れていなかった。
- 2002.10にはCCCからエルゼビア各社の扱いはグレーであるとの解釈を口頭で聞いた。
- 2003.3になって、JCLS金原社長からCCCのライトホルダー・リストからエルゼビアが外れる模様だ、との話を聞いた。
- 2003.4.1 CCCからのメールで、リストからエルゼビアサイエンスなど9社を除いて欲しい、削除は60日の猶予期間を経て発効する、とのメッセージが届いた。
- 2003.4.10頃になってCCCより新しいリストが届き、約2,200社から約2,500社に増えたが、エルゼビア各社その他が外れていることが確認出来た。
- CCCからのメールでは、エルゼビアと長らく交渉をしてきたが、残念な結果になった、とのことであった。
- エルゼビア・グループの出版物が今後どのように扱われるかは正式にはまだ決まっていない。エルゼビアがJCLSに資本参加していることから、JCLSが扱う可能性が高いと考えている。
(3) 要求・要望・意見など
- エルゼビア・グループ出版物の取り扱い変更は影響範囲が広く、細部の条件の変更ではない。(具体的な管理対象出版物は未だ特定されていない)
- ACCSが利用者と契約もしくは交渉中の年間契約では、エルゼビア出版物が全て含まれていることを前提として考えており、これまでの話し合いでも双方了解していたはずである。
- 学著協とCCCの契約にリスト変更時の条件など、利用者には知らされていないし、ACCSの説明では、この種の情報は契約書の内容であって公開出来ない、との姿勢でディスクローズされてきていない。
- ACCSではこれまでは、「CCC管理著作物と確認出来ないものもACCSに送ってくれれば良い」、と説明してきており、CCCのリストが変わったから国内の扱いを変える、と言う今回の説明は矛盾する。
- 今後は、これまでの様な十分なディスクロージャーがなされないままでは、利用者として、また一般利用者との仲介者として、ACCSと交渉することは問題がある。
以上