平成13年3月5日 会員 各位 社団法人 情報科学技術協会 学著協−CCCの著作権問題に関するアンケートについて 昨年、学術著作権協会(学著協、日本複写権センターの組織の一部)から米国のCCC(Copyright Clearance Center)管理著作物の複写許諾契約等の要請文書が当協会維持会員のもとに送付され、会員はその対応に困惑 していました。 このため、当協会では2000年11月に緊急アピールを行い、この学著協の要請に対して当面、留保するこ とを勧めてきたところです。 これらの経緯を踏まえて、当協会では会員にとって最も望ましい方策を見出し、それらを基に関係諸機関に申し 入れを行っていくため、維持会員(企業会員)および企業に所属する普通会員(個人会員)に対して下記のような アンケートを実施しています。 2001年2月23日 維持会員 各位 社団法人 情報科学技術協会 学著協−CCCの著作権問題に関するアンケートについて 昨年2月以降、学術著作権協会(学著協)より米国のCopyright Clearance Center(CCC)の管理する著作物 の複写にあたって、その著作権料を支払うための契約を結ぶよう会員の皆様へ要請がきていることと思います。 当協会では今回、会員の皆様にとって最も望ましい契約形態を見出し、それを基に関係諸機関に対して申し入れ 等を行っていきたいと考えておりますので、この件について会員の皆様のご意見をお聞かせ下さるようお願いい たします。 つきましては、同封のアンケートにご記入の上、協会事務局あて郵送またはFAXで来る3月5日までにご返送 願います。 当協会では、学著協からの契約要請について、1)著作権集中処理団体として、本来、CCCと契約を締結すべ き社団法人日本複写権センター(JRRC)ではなく、任意団体の学著協との契約となること、2)すでに国内 出版物の著作権についてJRRCと包括許諾契約を結んでいる会員にとって、二本立ての契約は煩雑過ぎること 、から2000年11月の緊急アピールにより、学著協との契約を当面留保することをお願いしておりました。 当協会の考え方及びこれまでの経緯並びに各契約方式の詳細につきましては、別紙に記してありますので熟読の 上、関係当事者の立場でアンケートにお答え下さるようお願いいたします。 なお、アンケートの内容は統計的に処理しますので、回答者にご迷惑をおかけすることはございません。 機 関 名 記入者名 T.米国のCCCの著作物に関する学著協の要請について、あなたのお考えをお尋ねします。 1.どのような方式の契約を結ぶことが望ましいとお考えでしょうか。 a.包括許諾契約を望む b.個別許諾契約を望む(次の3へ) c.どちらも望ましくない(次の4へ) 2.包括許諾方式を望まれる方にお伺いします。包括許諾方式を望まれる理由は? a. 国内著作物と共通のシステムが必要 b. 国内・国外で違う契約形態は望ましくない c. その他( ) 3.個別許諾契約を望まれる方にお伺いします。TRS方式とAAS方式のどちらの方式を選ばれますか。 a.TRS方式を選ぶ b.AAS方式を選ぶ c. 個別許諾方式がよいがTRS,AAS以外の方式が よい→具体的にお聞かせ下さい( ) 4.どちらも望ましくないとお答えになった方へ。望ましいと思われる方法をご記入下さい。 ( ) U.包括許諾契約を国内・国外一本で行うものとして、1ページあたりの著作権料はどの程度が妥当とお考え になりますか。 a.5円まで b. 10円まで c. 15円まで d. 20円まで e. 25円まで f. 30円まで g. 35円まで h. 40円まで i. 45円まで j. 50円まで k. 50円以上 (注)別紙の「3.INFOSTAの考え方」を参照して下さい。 V.国内の著作物に関する日本複写権センター(JRRC)との包括許諾契約の状況についてお聞きします。 a.現在契約している b.契約を検討している c.契約するつもりはない W.学著協に対するご意見などがありましたらご記入下さい。 ( ) X.日本複写権センター(JRRC)の現状に対して、要望・ご意見などがありましたらご記入下さい。 ( ) お忙しいところありがとうございました。 1.「著作物の複写に関する著作権料の集中支払い」に関する経緯 ○1976年 :米国で著作権集中処理機構の設立を米国議会が業界に要請した。 ○1977年 :米国でCCCが複写利用者・著作者・出版社によって設立され、1978年から活動が開始 された。 ○1989年 :学協会の著作権を擁護する目的で、一部の学会により学著協(当初は学協会著作権協会)が設 立された。現在約500弱の学協会からの委託を受けている。 ○1992年:学著協・著作者団体連合・出版社著作権協議会の3団体により、日本複写権センター(JRR C、1998年に社団法人認可)が設立された。国内の著作物を対象に主として包括許諾契約を各企業との 間で結んでいる。現在約2千数百社と契約している。 ○1999年:JRRCとCCCとの包括許諾方式の契約交渉が難航(注)。一方、学著協は並行して進めて いた個別許諾方式の契約を行った。 ○2000年2月:学著協から一部の企業に予備的に「個別許諾方式」による交渉の打診があった。 4月:学著協から、CCC管理下の著作物の複写物に関する「個別許諾方式」の説明会の通知があり、5月 までに3回行われた。 7月:INFOSTAの主催で、「個別許諾方式」に関する学著協の説明会を行った。 10月:学著協により『個別許諾方式』の「調査・年間方式(AAS方式)」の説明会が催された。 (注) CCCとJRRCとの間に包括許諾契約が成立していないのは、JRRCが行っている包括許諾契約 の2円/1枚という複写権料に対して、JRRCの構成団体の一部に不満があることも大きな原因となってい ると思われる。例えば、今回の個別許諾方式の提案では1枚あたり50円である。また、英国のBLSDCや 米国のUNCOVER等の複写提供機関は、出版社などとの契約において、複写1件あたりが0円から上は数 千円も支払う体制になっている。なお、数年前に洋書輸入協会がCCCと交渉した際には、CCCは1ページ 1.5ドルが最低限、同協会は1ページ40円がスタートである、と主張したと言われている。 2.著作権料契約の種類 A.包括許諾契約(日本国内) 日本複写権センター(JRRC)による、国内の著作物に関する社内利用向け複写に対する契約である。契約締 結企業(企業グループ)は年間「社員数*20枚*2円」の著作権料をJRCCに支払う。この数字は1ページ あたりの著作権料を2円とし、すべての社員が一律に年間20ページのコピーを行う、という前提のもとに決め られている。 なお、JRRCはCCCに対して同様方式での契約締結をめざして交渉を進めていたが、日本国内の著作権料が あまりに安価であることなどから、交渉は現在中断している。 B.個別許諾契約(学著協−CCC) 個別許諾にはTRS方式とAAS方式の2種類があるが、いずれも実績を基に著作権料を支払う方法である。 イ.TRS方式:CCCの管理著作物約160万件に対して、複写した枚数と著作物名を報告して、その結果に 基づいて1枚あたり50円の著作権料を学著協に支払う。少部数であれば社外への供給も認められる。 ロ.AAS方式:CCCの管理著作物約160万件に対して、2年に1回、5週間の調査期間を設け、複写実態 を調査(注)し、その結果及びCCC管理著作物を利用する社内の人数を報告する。各企業の結果は業界毎にま とめられ、業界毎の1人あたりの年間の著作権料が算出される。各企業は企業の属する業界の1人あたり著作権 料にCCC管理複写物を利用する人数を掛けた金額を著作権料として年度始めに支払う。この契約の場合、複写 物の利用は社内に限られる。 (注)調査が行われている間は、著作物をコピーする際に書名の判るページを1枚余分に複写し、複写した頁数 をその紙に記入する。これをまとめて学著協に送付し、学著協側で集計する。このデータは集められた著作権料 の配賦の基礎資料にも使われる。 3.INFOSTAの考え ○ INFOSTA会員の多くは、我が国唯一の著作権集中処理機関である社団法人 日本複写権センター(JR RC)からの要請ではなく、法人格も無い、学協会から著作物の複写代理権の委託を受けているに過ぎない、し かもJRRCの構成団体の一つである学著協という、本来、当事者にはなり得ない団体が米国CCCの代理機関 になっていることに疑問を感じていると思います。 また、日本国内と米国の契約が別方式であることによる事務手続きの煩雑さも、学著協との契約に逡巡する大き な理由になっていると思われます。 ○ 本来ならば、米国著作物についても国内と同様、JRRC−CCC間の包括許諾契約で処理されることが会員 の皆様の望まれるところだと考えます。しかしながら、現在、JRRCとCCCとの交渉は、著作権料の問題で 難航、中断しており、CCCは個別許諾と同額の50円/ページの金額に見合う著作権料が見込まれない限り、 JRRCとの交渉には応じないと思われます。 ○ 言うまでもなく、著作権料は支払うべきものではありますが、金額の妥当性、支払方法の簡便性等は容認でき るものでなければなりません。当協会は皆様のご意見を集約し、また、国会図書館、JST、IMIC等からも 情報を得つつ、専門図書館協議会、薬学図書館協議会等関連団体と連携して、文部科学省、文化庁、経団連、 JRRC、学著協等の関係機関に強く働きかけていきたいと考えております。 今後とも会員の皆様のご協力をお願いいたします。 以上